2025.06.25
目標の全日本学生選手権4強へ。 収穫と課題が明確になった〝春〞
自立できる人間を育てる
強豪クラブが集うびわこ成蹊スポーツ大学の中でも、右肩上がりの急成長を見せているのが女子ハンドボール部だ。
創部は2019年。大阪体育大学を始めとしてジャスコや三重バイオレットアイリスを全国の強豪へと育てた池本聡氏を監督に迎え、強化に本腰を入れた。だが、その矢先にコロナ禍の影響を受けてチーム作りが難しい状況に。池本監督は「大会が中止になり、対外試合も組めない。選手たちにモチベーションを維持させるのが難しかった」と当時を振り返る。それでも辛抱強く強化を図った結果、コロナ禍が明けた2022年に目標の一つだった関西1部へ昇格。翌年には全日本学生選手権(インカレ)に初出場し初勝利も挙げた。2024年にはインカレ・ベスト8に進出。クラブレコードを塗り替え続けている。
そんな急成長の背景には、選手たちの「自立」があるようだ。池本監督は大学年代の育成について、ある哲学を持っている。「大学は高校と違い、各々の生活リズムが異なる。そのため練習以外の時間をどう過ごすかが成長のカギになる。だから、やらされるのではなく自ら〝やる〞ことが大切。つまり自立です。今もそうですが、コロナ禍の頃は特に自立が重要でした」
8月の〝西日本〞で出場権を!
2025年度から西村純コーチを新たに迎えた。西村氏は高校での指導歴40年というキャリアを誇り、2022年には洛北高校(女子)を全国選抜大会と国体の二冠に導いている。全国で勝つ術を知る稀有な存在だ。
「上に行けば行くほど選手たちにはクレバーさが求められる。選手たちの戦術理解が深まればミスも減りますし、そういうチームじゃないと全国では勝ち上がれない。びわこ成蹊の春季リーグを見る限り、まだインカレでベスト4に残れる実力はないと感じました。ここからどれだけ戦術をチームに落とし込めるかがカギかなと思います」
春季リーグは5位という結果で幕を閉じたが、収穫もあった。キャプテン松本紗季(4年)は春季リーグをこう振り返る。
「追い込まれた状況でも、自分たちが何をするべきかを理解し粘る力がついたと感じました。それはインカレに向けての収穫だと思います。課題のシュート確率などを秋までに改善していきたい」
8月にはインカレ出場権がかかる西日本インカレを控えている。16チーム中上位8チームが出場権を得られるが、池本監督は「西日本で上位4つに残れないと、インカレ4強は難しいでしょう。まずは西日本でしっかり上4つに残ってシード権を得ることが大切」と話す。
インカレ・ベスト4への挑戦はすでに始まっている。
-
びわこ成蹊スポーツ大学 女子ハンドボール部
2019年に池本聡監督を迎えて同好会から昇格する形で創部。2022年に関西1部へ昇格し、2024年には全日本インカレでベスト8に。2025年には京都・洛北高校などを全国優勝へ導いた西村純監督をコーチとして招聘。さらなる飛躍をめざしている。