2024.07.01
部員1人で始まった女子の野球部。初の全国でハツラツと野球を楽しむ。
ワクワクして眠れなかった
2024年4月に誕生したびわこ成蹊スポーツ大学硬式野球部(女子)が、5月の「第10回全日本大学女子硬式野球選手権高知大会」に出場した。初の公式戦。石井智監督は「やはり感慨深いものがありました」と振り返る。
部の立ち上げ話が出たのは2年前。野球経験者を探していると1年生に1人だけいることがわかった。京都両洋高校出身の竹内すず。男子の総監督を務めていた石井監督が声をかけ、二人三脚が始まった。後に女子に専念する石井監督だが、その覚悟を決めた瞬間がある。
「竹内さんが初めて練習参加した日、ミーティング前に声をかけたら〝昨日は眠れませんでした〞と言ったんです。男子部員200人に対して女子部員1人。〝やっぱりツラいよね〞と返答すると〝いいえ、ワクワクして眠れなかったんです〞と言いました。ただの練習参加が楽しみで眠れない…。こんなピュアな気持ちを忘れていましたし、感動を覚えました」
女子部員1人の紅一点で始まった同好会は、もう1人の初期メンバーとなる浅野希星(4年)を加えて徐々に形を成していく。
日本一野球を楽しむチーム
硬式野球部(女子)のスローガンは「日本一野球を楽しむチーム」である。初の公式戦は2敗で終わったものの、浅野は「ベンチからの声出しもよく、一番楽しんでいた自信があります」と振り返った。
大津商業高校出身の浅野は小学生の頃に野球を経験。中学・高校はソフトボール部に所属していた。高校時代はコロナ禍でインターハイ中止を味わい、大学ではソフトボールはおろか他のクラブにも入らなかった。なにか熱中できるものがないか模索していた2年生の終わり頃、女子の硬式野球部を作るというニュースを聞く。内側から何かが湧いてくる感覚があった。
石井監督と面談し、同好会に入ったものの部員は竹内と2人だけ。
「大学卒業までに単独チームで公式戦に出るのは難しいと思っていました。でも、石井監督が尽力してくださり、新入部員が集まった。初の全国大会はやっぱり込み上げるものがありました」
もちろん、竹内(3年)も込み上げるものはあった。「大学4年間の中で、いつか野球部を作りたい」との思いで入学していた竹内の方が、むしろ熱いものがたぎった。
「合同チームとは違い、全員が同じユニホームで公式戦を戦う…。感極まるものがありました」
スローガンは「日本一野球を楽しむ」ではなく、最後に「チーム」が付いている。個人ではなく、みんなで助け合いながらチームとして野球を楽しむという意味が込められている。部員1人からチームになった硬式野球部(女子)のストーリーもここには詰まっている。
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びわこ成蹊スポーツ大学 硬式野球部(女子)
2024年4月に創部。2023年度は同好会として活動し、昨年の秋の大会は合同チームとして参加。今年は単独チームとして初の公式戦(第10回全日本大学女子硬式野球選手権高知大会)に出場した。試合結果は2敗。1回戦vs桃山学院教育大学0-7(大会規定の6回コールド)。敗者戦vs福井工業大学2-7。