2026.04.24
馬淵崇英コーチとの出会いが分岐点。 環境抜群の滋賀からオリンピック狙う。

「うち来ない?」で人生一変
神奈川県出身の伊藤洸輝はずっと関東圏で飛込を続けるものだと思っていた。だが、日本大学1年だった2018年に、兵庫・JSS宝塚の馬淵崇英コーチから「うち来ない?」と声をかけられた。馬淵コーチと言えば、飛込のレジェンド寺内健を育てた全日本ナショナルチームヘッドコーチ。伊藤はうれしかった。喜んで合宿に参加した。だが、想像していたものとは少し違っていたという。
「最初は普通に『合宿に来ないか』というニュアンスでした。けど、蓋を開けたら、10m高飛込のシンクロを組んでほしいと言われて…。ずっと3m飛板飛込がメインで、高飛込はほぼ練習してない状態だったので『高飛込ですか?』って聞き返したくらいです」
飛込にはスプリングボードの反発を利用して試技する飛板飛込と、固定された台から飛び込む高飛込がある。3mと10mという高さの違いだけではなく、技の種類も異なる。いわば別競技だ。しかも、2人同時に飛び込むシンクロ。伊藤にとっては未知の世界だった。
「高飛込は嫌いだったので、本当は飛びたくなかったです。でも、オリンピックという目標に対して可能性が広がるのは確かでした。実際、当時の僕は3m飛板飛込でもっと技の難易度を上げないといけないなど課題もいろいろとあったので、これはチャンスだとポジティブに捉えました」
転向後すぐの2019年4月には、日本室内選手権10m高飛込シンクロで優勝する。さらに9月の日本選手権でも2位に入り、東京オリンピック出場が見えてきた。その矢先、世の中がコロナ禍になった。
それでもペアを組む村上和基選手と個々で競技力を高め続け、2021年の東京オリンピック出場を果たす。馬淵コーチの一言で伊藤の競技人生は好転した。
有観客のオリンピックに出たい
子どもの頃、伊藤の憧れは寺内健選手だった。多くの観客が見守るオリンピックの舞台で活躍する姿が今も目に焼き付いている。だが、伊藤が出場した東京オリンピックはコロナ禍で無観客での開催。「正直、思っていたオリンピックとは全然違いました」と話す。
その経験もあって「オリンピックをしっかり味わいたい」との想いが日に日に増していったという。
あれから5年、現在の伊藤は3m飛板飛込をメインに練習している。多い日で1日60本ほどプールにダイブするハードな日々を送っているが、特に苦ではない。むしろ「感謝の気持ちが強い」そうだ。
「滋賀のプール(インフロニア草津アクアティックセンター)は日本一と言っても過言ではないと思います。年間を通して使えるプールは国内では数少ないですし、四国や中国地方、九州からも練習しに来る選手たちがいるくらいです。ここで毎日練習ができる環境はすごく恵まれていると思います。今年度からレイクスターズ・サポートアスリートとして活動させていただきますし、やはり滋賀の皆さんに結果で恩返しできればと思っています。2028年のロサンゼルスオリンピックに向けて頑張りますので、応援よろしくお願いいたします」

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伊藤洸輝
立命館ダイビングクラブ
いとう・ひろき。神奈川県出身、26歳。帝京高校、日本大学卒。JSS宝塚を経て滋賀の立命館ダイビングクラブへ。2021年の東京オリンピック10mシンクロ高飛込で8位入賞。2023年の世界水泳ミックスシンクロ高飛込3位。2025年国民スポーツ大会(滋賀国スポ)10m高飛込3位ほか。








