2021.10.30
「思いっきり投げる」面白さを満喫 発足2年のチームが全国大会初出場 TSCハンドボールアカデミー
楽しむことが成長につながる
高島市を拠点に活動する「TSCハンドボールアカデミー」の小学生男子チームが、創部から2年で「全国小学生ハンドボール大会」(7月29日〜8月1日/京都)に滋賀県代表として初出場を果たした。かつて地元高校のハンド部が全国大会の常連で、潜在的なファンが多い高島。小学生の躍進を機に「ハンドがメジャーなまちに」と盛り上がりを見せている。
TSC(高島スポーツタウンプロジェクト)は野球など17種のプログラムがある総合型地域スポーツクラブ。
2019年7月に創設したハンドボールアカデミーは小学生と中学生約40人が活動している。指導者の奥澤航一郎アカデミー長は高島市出身で、同志社高校で競技を始めた。就職後に母校コーチを務めた経験からスポーツビジネスに関心を持ち、発祥国のデンマークにコーチ留学。帰国後にTSCを運営するNPO法人から誘いを受けて立ち上げた。
アカデミーの練習は音楽に合わせたリズムトレーニングで軽快にスタート。入部間もない子どもたちが豊富なコーチ陣と和気あいあい基礎練習に取り組む一方、もう半面で奥澤アカデミー長が的確な指示を送りながら上級者が3対3の実践練習。
最後は小中学生と指導者が全員シャッフルで行うお楽しみのミニゲームで締めくくる。コーチ陣は社会人チーム「高島クラブ」の若手メンバーらで、中学から県外へ進学したアカデミー長にとって心強い助っ人。
個々のレベルに応じて大人がしっかりサポートすることで、ボールを思いっきり投げるハンドならではの楽しさを子どもたちが満喫し、「もっとうまくなりたい」と奮起する様子が伝わってくる。
「僕はうまい選手だったわけではなく、コーチ時代も高校生になめられないように、本や動画から知識を得ようと必死でした(笑)。小学生の指導は高校生より楽かと思えば、ハンドをやったことのない子ばかりで練習が成り立たないし、言うことも聞いてくれない。だから全員に面白いと思ってもらえる練習メニューについてはすごく考えています」と奥澤アカデミー長。
楽しめるメニューを追求した結果、子どもたちの身体能力と技術力向上につながったというわけだ。
高島でハンドをメジャーに
「アカデミーの目的は、ハンドボールを通じて様々な経験を積んでもらうこと。勝つことが目標ではないけど、経験の一つとしては大事。そういう意味で、全国の舞台は貴重な経験になりました」。トーナメント戦で戦う全国小学生大会は千葉県代表に初戦敗退したものの、1対1の攻防など手ごたえを感じられた部分も。
主将の安原紋四朗(本庄小学校6年)は「パスの精度やシュートコントロールを磨くという今後の課題が見つかりました」と話し、次期キャプテンの万木湊斗(安曇川小学校5年)は「もっと強くなってまた全国の舞台へ」と来年に向けて練習に熱が入る。
アカデミーのさらなる夢は「高島でハンドボールをメジャースポーツに」。かつての強豪校を含め市内高校ハンド部は現在休部状態のため、中学卒業後にプレーする土台が整っていない。「せっかくマイナーなスポーツを選んでくれた子どもたちに、ハンドが打ち込める環境を用意してあげるのが大人の役目」と奥澤アカデミー長。TSCハンドボールアカデミーの夢はまだ始まったばかりだ。