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2019.04.05

臨場感の奥に人間ドラマを映す。 スポーツ中継の世界。

指導者として、ボランティアとして、親として…。
スポーツは選手だけではなく、支える人たちの助けがあって初めて成立するもの。
連載﹇SOS﹈では、そんな縁の下の力持ちにスポットを当てていきます。

誰もがプチ解説者になれる
初めてスポーツを生観戦した時、何か違和感を感じたことはないだろうか。テレビ中継に慣れている人は特に…。そう、生観戦にはいつもの解説や実況がない。 競技や大会によってはリプレーもない。 テレビ中継と生観戦とでは情報量に圧倒的な違いがある。 にわかファンでもスポーツ中継を観れば、試合後にプチ解説者になっている。それくらい試合に入り込める要素が多いのはスポーツ中継の特長と言えるかもしれない。

ヒューマンドラマを描く
 では、その中継はどのような思いで作られているのだろうか。 滋賀レイクスターズが立ち上がった当初から試合解説をしてきた立命館大学体育会男子バスケットボール部の北波正衛総監督はこう話す。
 「最初はプレーや戦術の説明をちゃんとしないといけないと思いすぎて、観ている人が楽しめるような解説ではなかったと思います。 でも、どんどんレイクスが好きになって、目の前のゲームを楽しめるようになって、少し解説が変わってきたように思います」

 Bリーグをはじめ、高校野球、高校サッカーなど多くの中継を手がけるびわ湖放送のプロデューサー兼ディレクターを務める北村貴氏にはこんな信念がある。
 「選手のヒューマンドラマを描きたいと思っています。レイクスを例にすると、コートに立っている選手たちはその瞬間にたどり着くまでに何年、何十年と必死にボールを追いかけ、その過程でいろんなドラマを経験しています。それを可能な限り中継の中で描きたいと考えています。 だから、レイクス担当の制作チームはオリジナルの選手名鑑を作り、試合毎に相手チームの選手とのつながりなどをリサーチします。 バスケに限らず、高校スポーツなどでも選手の意外な一面を垣間見られたら、その競技の魅力がさらに増すのではないかと考えています」

 中継時は、視聴者の目線を意識しながら、今はどんな映像が必要か、カメラワークをどうするか、どんなコメントがほしいか、脳をフル回転させながら中継クルーをまとめている北村氏。そんな忙しい中でも、臨場感の奥に人間ドラマを描くことを忘れない。 観ているものは2次元動画だが、そこに3次元以上の深みを刻んでいくのがスポーツ中継の醍醐味と言えるのかもしれない。

映像が主役。我々は脇役
長年、滋賀のスポーツ実況に関わってきた牧田もりかつ氏は 「手元に届く映像には、撮影者の何かしらの意図がある」 と話す。 十数年前の高校野球滋賀県大会決勝で、ある選手がヒットを打ったシーンを例に説明してくれた。
 「その選手は決勝までヒットが打てずに苦しんでいた。 それでもチームに貢献したいと必死に努力を続け、決勝でやっとヒット1本を打つことができた。彼が打席に入った時、カメラは意図的に表情をアップで映した。 その時、私は彼が苦しんできた日々を伝えた。 その寄りのシーンと実況がなかったら、視聴者がヒット映像を観て〝あ、打ったな〞という素朴な感想で終わっていたかもしれない。 でも、彼の努力の日々を伝えたことで、同じヒット映像でも全く違う意味を持つことになった。 あくまで手元に送られてくる映像が主役で、我々は脇役です。 でも、みんなが一つになって映像を組み上げることで、スポーツがより面白いものになる可能性がある」

 ヒットを放ったその高校球児は、結局甲子園には行けず、野球をやめようと思ったという。 だが、この時の中継シーンを録画で観て、もう少し野球を続けようと思い直した。 そして数年後、指導者となった彼は、牧田氏と高校野球の現場で再会したという。

 全てがいい方向に向かうとは限らないが、スポーツ中継には選手の人生を支えるチカラがある。

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