2021.12.06

ケガなく着実に成長 そして37年ぶり快挙 【女子100m】 奥野由萌

県高校新で全国6位入賞

彦根翔西館高校の奥野由萌(3年)がインターハイ女子100mで6位入賞を果たした。滋賀県勢がこの種目でファイナリストになるのは実に37年ぶり。しかも、準決勝では滋賀県高校記録となる11秒83をマークした。

「準決勝では11秒86より速く走らないと決勝に残れないと分かった中でのレースでした。予選からタイムも上がってきていましたし、失うものは何もない。自分の走りに集中しようと思いました」

結果的に県高校新でファイナルへ。決勝でもセカンドベストの11秒85を出した。だが、村上拓顧問は「驚きはなかった」と話す。「奥野は水口から毎朝1時間半ほどかけて学校に通っています。それだけの覚悟をもって彦根翔西館に来ました。1年の頃から身体のケアも怠らず、ケガが少ないことで順調に成長できました。だから、(決勝進出は)うれしかったですけど想像できる範囲でした」

勇気あるフォームの変更

真夏の奇跡は奥野の3年間の努力の賜物だ。高校1年のベストは12秒27、高校2年は12秒00、そして高校3年春の県記録会で初の11秒台をマーク。一歩一歩、着実に成長してきた。その中で、奥野は大きな決断を下している。
「実は2年の冬からフォームを大きく変えました。以前は足が後ろに流れていましたが、足の接地位置を前にすることで流れないように改善しました。そのフォームをある程度ものにできたことが結果につながったのだと思います」奥野は淡々と話すが、高校最後のシーズンにフォームを変更するのは言葉で言うほど簡単な決断ではない。だが、大学で競技を続け、3年後のパリオリンピックも目指している。奥野の中では、すでに答えは出ていた。

「タイヤ引きで低い姿勢を保つスタートの練習に取り組みました。また、チューブで途中まで体を引っ張ってもらうトーイングで中盤の最高速を伸ばすように努めた。これらを継続し、春の記録会で11秒台を出せた。自分がやってきたことが間違っていないという自信になりました」

新しいフォームに取り組んでまだ1年未満。それを考えれば、伸びしろはたっぷりある。「まずは11秒5台、そして11秒4台を出したい」
今夏の奇跡には、まだまだ続きが待っているのかもしれない。

奥野由萌

彦根翔西館高校

おくの・ゆめ。2003年10月27日生まれ、甲賀市出身。貴生川小学校、水口中学校を経て彦根翔西館高校へ。現在3年。小学3年から甲賀JACで陸上競技をはじめ、中学時代に全国大会に出場。高校では自己ベストの更新を続け、今年のインターハイ準決勝で県高校新の11秒83をマーク。

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