2024.05.01
改めて〝楽しむ〞を決意して挑む。
〝当たり前じゃない〞を知る
2024年2月4日から12日までの9日間、滋賀短期大学附属高校(滋賀短)は、元日に起きた能登半島地震で被災した石川県の鵬(おおとり)学園高校の女子バスケットボール部員( 13人)を受け入れた。鵬学園はウインターカップ5回出場の強豪校で、滋賀短とは何度も夏合宿を行ってきた間柄。心配した滋賀短の北原聡コーチから声をかけたのだと言う。
「地震が起きた1月1日に電話をしましたがその時はつながらず、スマホにメッセージを残しました。それから4週間が経っても音沙汰がなかったのでもう一度電話しました。すると〝ちょうど、こちらからも電話をしようと思っていたところでした〞と言われました」
選手寮を修繕する間、鵬学園の部員を預かってもらえませんか。「困った時はお互いさま。でも、それだけではなく滋賀短は3年生が抜けて部員7人だったので合同合宿をするメリットもありました。また、バスケットができる日常が〝当たり前じゃない〞ことを鵬学園の子たちから感じとれるいい機会だとも思いましたし、快く引き受けました」
女王復権へ狼煙を上げる
インターハイとウインターカップにそれぞれ18回出場している滋賀短だが、草津東や近江兄弟社ら他校の台頭などもあってインターハイは2019年度を最後に出場できていない。昨年度( 23年度)のウインターカップも実に6年ぶりの出場だった。県外選手の受け入れ体制の問題などもあって、今年の3年生は全て滋賀県出身。しかも、2年生部員がゼロという異例のチーム編成となっている。
この難しい年にキャプテンを任されたのが國松咲那(3年)だ。「昨年は先輩たちにウインターカップに連れていっていただき、全国の雰囲気を体験させてもらいました。でも、私たちの代はあまり試合に絡めておらず実戦経験が少ない。下級生と接するのも今年の1年生が最初なので難しい面もあります。でも、まともに練習ができなかった鵬学園の選手たちと合宿したことで〝みんなで今をもっと楽しもう〞という気持ちが強くなりました。全員バスケットで全国出場をめざします」
滋賀短に憧れて入学した小倉華蓮(3年)も全国大会出場への強い気持ちを持っている。「小学生の頃から憧れていたウインターカップはその場にいるだけで雰囲気に圧倒されました。あの舞台で勝ち上がるチームは技術もスピードも違いましたし、気持ちや取り組む姿勢もランクが一つ上だと感じました。あの舞台で戦うための物差しを先輩が残してくれましたし、試合経験が少ない私たちの代にとっては貴重なものだと思います。それを基準に、走ったり、声を出したりというベーシックな部分を徹底した上でスキルやチームプレーを磨いていけば絶対に強くなると思います。全国に行って鵬学園と試合したいです」
経験値に不安がある今の3年生にとって、昨年のウインターカップ、そして2月の鵬学園との合同合宿は貴重な体験になったに違いない。これを女王復権のきっかけにできるか。楽しみなシーズンは5月の春季総体からはじまる。
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女子バスケットボール部
滋賀短期大学附属高等学校
部員7名(新1年を除く)。過去にインターハイとウインターカップそれぞれ18回出場を誇る名門。1993年のウインターカップでは全国ベスト16に進出。2023年はウインターカップに6年ぶり18回目の出場を果たした。