2018.08.04
[ボート]東レ滋賀 ボート部
瀬田川水域の頂点に立つボート部。常に”憧れ”であり、”手本”となる。
夕刻、仕事を終えた部員たちが瀬田川畔にある艇庫に集まり、約2時間、汗を流す。 ユーティリゼーリョンと呼ばれる、ゆったりとした乗艇練習は美しく、見るものを釘付けにする。 全日本選手権エイト優勝9回など数々の金字塔を打ち立ててきた東レ滋賀ボート部は、この水域で練習する大学生や高校生にとって憧れであり、お手本。 常に注目の的である。
7月の全日本社会人大会男子シングルスカルで優勝した青松載剛は 「確かに、練習中に視線を感じる時はあります(笑)。 自分は高校も大学も違う水域だったので、瀬田川で東レ滋賀がどういう存在かはわからなかった。 でも、ここに来て”見られている”と感じますし、そういう立場なのだと今は理解しています」 と話す。
そんな名門ボート部のキャプテンを任されているのが、高島高校出身の杉嶋俊幸だ。 全日本軽量級選手権・舵手なしフォア(4人乗り)4連覇に貢献した一人である。
「もちろん、お手本になるように意識はします。 でも、コーチから”フォーカス インサイド”と口酸っぱく言われるように、自分の内側を見つめることが大切だと思います。 どうすれば一番いいパフォーマンスを出せるかに集中する。 その積み重ねが、東レ滋賀の歴史になっていくと思います」
1949年創部という長い歴史の中で、こだわってきた種目は花形種目の”エイト(8人乗り)”である。大学からボートを始めた大津市出身の平井駿一はこう話す。
「いくらフォアで4連覇しても、エイトで勝てないと”弱い”印象になる。 他のチームもそうだと思いますが、エイトは価値が違う。 全日本選手権のエイトで勝つことは、永遠のテーマだと思います」
第96回全日本選手権大会は10月25日〜28日に埼玉・戸田ボートコースで開催される。今年の合言葉は、王者・NTT東日本の3連覇阻止。”King of Seta River”東レ滋賀の挑戦に注目したい。
東レ滋賀 ボート部
Team Profile /1949年創部。全日本選手権エイト優勝9回、朝日レガッタのエイト優勝12回など。オリンピック・世界選手権・ワールドカップなどの日本代表を数多く輩出。今年5月の第40回全日本軽量級選手権・舵手なしフォアで優勝し4連覇達成。7月の第68回全日本社会人大会では男子シングルスカルで青松載剛が優勝、舵手なしペア(吉田航・平井駿一)も優勝を果たした。