2017.09.02

[車椅子バスケットボール]LAKE SHIGA BBC

全国1勝が示す意味

ゴン、ガツ、キュ、ガツ…。 車椅子が激しくぶつかる衝突音と、タイヤのグリップ音が重なり合う。 パラリンピックの花形種目である車椅子バスケの独特のサウンドが湖国に響き始めたのは、滋賀県唯一の車椅子バスケチーム 「LAKESHIGA BBC」 が産声をあげた1991年からだ。 現在のメンバーは11名で、週1〜2回、県立障害者福祉センターの体育館で汗を流し、着々と強豪への階段を昇ってきた。

今年1月に近畿大会を制した彼らは、5月3日〜5日の日本選手権大会(東京)に駒を進めた。 出場は2年連続3回目で、悲願の全国1勝を手にした。 メモリアルな1勝を挙げた相手は、昨年の同大会で敗れた九州代表 「佐世保車椅子バスケットボールクラブ」。58-54の接戦を制し、見事にリベンジを果たした。 前野奨ヘッドコーチは 「この1勝は我々にとって大きな意味を持つ」 と話す。
「モットーは、厳しさの中に楽しさを見出すことです。 交通事故などによる中途障害のある選手が多く、みな、大きな挫折を経験している。 スポーツを通して自信につなげ、社会復帰を果たしていくのが我々の大きなテーマです。 そういう意味で、昨年敗れた相手に勝てたのは(挫折を乗り越えたのと同じように)価値がある」。

2回戦では後に準優勝を果たす「NO EXCUSE」に22-85で大敗を喫した。だが、前向きな彼らにとっては、それも次へのモチベーションになるに違いない。

車椅子バスケの魅力を広めたい

11月5日に車椅子バスケの交流大会「BIWAKO CUP2017」が大津市・におの浜ふれあいスポーツセンターで行われる。 主催は「LAKE SHIGABBC」。 日本選手権の常連チームも参加予定のハイレベルな大会で、過去に15回以上も開催されている。 目的はチームの強化、そして競技の普及にある。

元野球選手の小島慎弥は「車椅子バスケの選手で、もともとバスケをしていた人は意外に少ない。40歳の私も28歳で下半身不随になるまでは野球をやっていましたから。私が車椅子バスケに出会って生き甲斐を見つけたように、BIWAKO CUPで多くの出会いが生まれたらうれしい」と力を込める。

車椅子バスケは、障害の程度によって1.0〜4.5まで持ち点がクラス分けされる。 腹筋・背筋が機能しないなど障害が重い選手ほど点数は低く、軽くなるにつれて0.5点刻みで持ち点が高くなる。 試合ではコート内の5人の持ち点合計を14点以内に収めないといけない。1.0点などのローポインターで能力の高い選手を抱えるチームの方が、より強力なオーダーを組めるため有利になる。 競技観戦の醍醐味の一つとしては、ローポインターがハイポインターとマッチアップして1対1を制すこと。 もちろん選手自身の誇りにもなる。

2.0点のローポインターである副キャプテンの橋口勇喜は「試合でハイポインターの攻撃参加を遅らせるなど、ディフェンスでチームに貢献した時がうれしい」 と笑顔を見せる。健常者のバスケにはない競技の面白さと言えそうだ。

LAKE SHIGA BBC


Profile/1991年発足。今年5月に行われた「第45回日本車椅子バスケットボール選手権大会」に出場。日本代表の緋田高大(摂南大学)も所属。練習拠点は草津市にある滋賀県立障害者福祉センター。練習は水曜日17:30~20:30(見学可)ほか。

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