2025.01.01

長身セッターとして才能が開花。アジア4位の次は“世界”を狙う。

王者に肉薄した3年間

 強豪クラブが揃う比叡山高等学校の中でも男子バレーボール部の成長は著しい。全国大会出場をかけた県総体では2021年から春季・秋季を合わせて8大会連続でファイナルに進出している。特に一昨年度の秋季では王者・近江高校をあと一歩まで追い詰めた。その中心にいたのが約190㎝の長身を誇る中村悠暉くん(3年)だ。

 中学時代から注目選手だった中村くんには〝王者〞からの誘いもあった。だが「近江に勝って全国に出たい」との思いから、比叡山を選んだという。結果的に打倒・近江は果たせず「悔しい3年間」になったものの、挑戦し続けたことで新たな扉を開くことになる。そう、U18日本代表という扉だ。

来年は〝世界〞をめざす

 今夏の「アジア男子U18バレーボール選手権大会」へ向けた代表合宿に招集された中村くん。だが、本来のポジションであるミドルブロッカーではなく、セッターとして。オプションとしてトスを上げることはあったが、「公式戦では一度もやったことがない」ポジションでの招集に最初はとまどった。

「(オプションで)一時期はセッターの練習をしていましたが、基本はスパイクを打つ方なので驚きました。その合宿は長身セッターを探すのが目的だったので、最初は単純に背が高いだけで呼ばれたのかなと思いました」

 もちろん高身長も呼ばれた理由だが、ボール捌きのうまさも高い評価を受けた。アジアU18選手権では全試合に出場したのが何よりの証拠だ。セッターとして試合を重ねる度に成長し、日本の4位入賞の立役者の1人になった。

「高さを生かしたブロックやネット際で背の低いセッターが触れないボールに触るとか、そういう部分では貢献できたのかなと。ただ、アジアの頂点をめざしていたので、その点では悔しさもあります」

 とはいえ、アジア4位の結果によって、日本は来年7月に開幕する「U19世界選手権2025」への出場権を得た。中村くんの次の目標は世界への扉を開くことだ。

「同世代には自分よりも経験値がある長身セッターもいる。彼らに負けないように、大学では自分の武器を探して磨きたい」

 比叡山での3年間を生かし、さらなる限界突破をめざす。

中村 悠輝

比叡山高校 男子バレーボール部

なかむら・ゆうき。仰木中学校卒。男子U18日本代表として2024年7月に開催された「アジア男子U18バレーボール選手権大会(バーレーン)に出場。比叡山高校では主にミドルブロッカー、代表ではセッターを務める。

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