2020.07.27
競技普及を目指し高3でNPO設立 [アーチェリー]神省吾
競技普及を目指し高3でNPO設立。
湖国発のアーチェリーの伝道師
「うちのクラブで練習している子どもたちと、一緒に世界大会に出るのが今の目標です」
この言葉には、選手であり、指導者でもある神省吾の歩んできた半生が凝縮されている。
NPO法人アシストアーチェリーの理事長である神は選手として競技を続ける一方で、2019年7月に甲西アーチェリー場(平和堂甲西中央店3F)をオープンさせ、スクールを開校している。自身も所属するアシストアーチェリークラブには、小学生から70歳以上の年配者まで幅広い顔ぶれが所属している。選手兼指導者という忙しい日々を過ごす根底には、アーチェリーへの並ならぬ愛情がある。
神がアーチェリーと出会ったのは大津商業高校だ。高校2年で全国強化指定選手に選ばれるなど頭角を現し、全国選抜大会やインターハイなどで活躍した。そしてオリン
ピック選手を輩出している名門・近畿大学へ進学。絵に描いたようなエリート街道を歩んできた。
その中で、早くからアーチェリーを普及させたいという思いが芽生え、ずっと温めてきた。高校3年時にはNPO法人アシストアーチェリーを立ち上げ、普及活動をスター
トさせているから驚く。
「アーチェリーは新品の道具を揃えると30万円くらいかかります。競技の普及においてそれはネックになる。安く道具を揃えられれば、普及につながると思い、NPO法人を立ち上げ、中古道具の販売を始めました」
これが、今のアシストアーチェリーの原点である。
道具の次に神が考えたのは環境整備。のちにアーチェリー場を作ってスクールを行うという未来図を描き、将来のために大学2年時に種目を変更することにした。
「一般的にアーチェリーといえばオリンピック種目のリカーブを指します。私も高校から大学1年まではリカーブをやっていました。でも、将来的に普及活動をするなら
コンパウンドも教えられないとダメかなと。だから、まずは自分が本気でコンパウンドに取り組むことにしました」
リカーブとコンパウンドの違いは、やや強引に言うとボウ(弓)の両端にカム(滑車)があるか無いか。リカーブはカム無し、コンパウンドはカム有り。たったそれだけのように思うが、競技の特性が全く別物になると神は話す。
「リカーブは弓を引いた状態が最も腕の力が必要です。コンパウンドは引く時に力が必要ですが、引ききれば滑車でブレーキがかかるので力はあまり要らない。つまり、リリースの瞬間まで腕力で支えないといけないリカーブは不安定で、カムで固定されるコンパウンドは安定感が高い。試合では、リカーブは何本的の中心に当てられるかを競う感覚ですが、コンパウンドは中心に当てて当然で何本ミスしたかが勝負の分かれ目になる。プレッシャーの質が全く違います」
経験からつむぎだされる言葉には説得力がある。選手としての才能もさることながら、神の魅力は豊富な経験による指導力かもしれない。
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神省吾
アシストアーチェリークラブ
Profile/かみ・しょうご。1994年10月19日生まれ、日野町出身。石山小学校、石山中学校、大津商業高校、近畿大学卒。高校からアーチェリーをはじめ、全国選抜大会やインターハイなどで活躍。大学時代には全日本学生アーチェリー個人選手権(コンパウンド)2連覇や全日本ターゲットアーチェリー選手権優勝など輝かしい戦績を残した。大学卒業後は企業勤めをしながら競技を続け、2018年から高校時代に立ちあげた「NPO法人アシストアーチェリー」を本格的に稼働させ、競技普及に務めている。