2025.03.01

ついにワールドカップ初優勝。 15歳の〝進化〟は止まらない。

1人だけ90点台をマーク

 2024年12月21日に決勝を迎えたFISスノーボードワールドカップ第2戦(アメリカ・カッパーマウンテン)で、清水さらが初優勝を飾った。しかも女子唯一の90点台( 90・50)を記録。23年2月のユースオリンピック銀メダルという快挙が少しかすむほどの強烈なインパクトを残してみせた。

 スノーボードのハーフパイプは、今シーズンと来シーズンのワールドカップや世界選手権などの成績を踏まえて2026年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピック日本代表が決定する。進化を続ける湖国出身の15歳は、ミラノに向けてどんな青写真を描いているのだろうか。まずはワールドカップ初優勝の感想を聞いてみた。

〈Q〉昨年12月のFISワールドカップ第2戦で初優勝という好スタートを切ることができた。その要因を教えてください。
「五輪に向けてメインスポンサーである株式会社ヤマゼン・ロック・ザ・キッズ様が練習環境を整えてくださり、ワールドカップに向けて専属コーチの中野智裕コーチ、マネージャー、両親と一緒に技術練習やフィジカルトレーニングを計画的に行っています。その積み重ねてきた結果が出たのだと思います」

目標はオリンピック金メダル

〈Q〉本格的にワールドカップへ参戦するにあたり、ユースオリンピック銀メダルはメンタル面で良い方向に働いていますか?
「はい。ユースオリンピックで金メダルを取れなかった悔しい気持ちが頑張る力となりました」

〈Q〉FISワールドカップ第2戦では女子唯一の90点台。何が良かったのでしょうか?
「女子にとっては大技であるフロント900とバック900(横2回転半の技)を繋げられたことと900とは違う軸の720の組み合わせが良かったと思います」

〈Q〉ワールドカップ第2戦では男子優勝の平野歩夢と2ショットを撮られる場面もありました。
「憧れの選手でもあり、みんなが注目している平野歩夢選手とダブル優勝ができたことをとても嬉しく思っています。平野歩夢選手との2ショットで私のこともより多くの方に知っていただけたのではないかと思っています」

〈Q〉オリンピックの日本代表選考は26年1月まで続きます。この期間の目標を教えてください。
「オリンピックの選考基準は発表されています。ワールドカップポイントというのが日本人選手の中であり、ベスト2大会のポイントが関係します。なので、表彰台に最低でも2回は乗りたいと思っています。目標は表彰台に1回でも多く乗ることと、オリンピックに向けた技を大会で出して、実践でクオリティーをどんどん上げていきたいと思っています」

〈Q〉ずばり、オリンピックでの目標をお願いします。
「日本人女子では初となる金メダル獲得です!」

24年から『ヤマゼン』へ。

〝ワンチーム〞で挑戦する。大津市に拠点を構える株式会社ヤマゼン・ロック・ザ・キッズは、これまでチーム名を「ヤマゼンロックザキッズ」として活動してきた。だが、2024年からチーム名を「ヤマゼン」に改称(社名はそのまま)。理由について佐々木智恵子チーフは「シニア選手も在籍しているため〝キッズ〞を含まない名称にしました」と話す。それに伴い、多少の方針変更も行ったようだ。

「それぞれの目標やレベルが異なるため、個別に対応した練習プログラムを組むことができるよう、チームでの合宿を廃止しました。選手たちはチームのコーチに限定されず、自分に合ったコーチを選び、練習を行える環境を整えています」

 契約アスリートのハーフパイプ清水さら( 15歳)などは昨年12月のFISワールドカップで初優勝を飾るなどまさに伸び盛り。清水に限らず、26年のミラノ・コルティナダンペッツォオリンピックで活躍が期待される契約アスリートも多く、すでに〝キッズ〞の枠組みでは対応できなくなっている。チーム名の改称にはそういう背景があるようだ。そして新生「ヤマゼン」としてはオリンピックに向けてこんな理想を描いている。

「チームに在籍し、トレーニングを積んできた選手が結果を出すことは、一緒に努力を積み重ねてきた実感があり、とてもうれしく思います。選手だけではなく、サポートする側も含め、選手を取り巻くサポーター全員が〝ワンチーム〞となり進めていき、一緒に結果を出すことが理想です。ミラノ五輪では、スノーボードのスロープスタイル、ビッグエア、そしてハーフパイプの各種目でメダルを獲得する選手を輩出できればと願っています」

 そして、その先には滋賀の子どもたちへの想いも抱いている。

「(ヤマゼンで)活躍するアスリートをきっかけに、一人でも多くの子どもたちがスノーボードに興味を持ち、スキー場に足を運んでもらえるとうれしいです。スノーボードを通して全国や世界中に友だちを作ることができます。競技だけではなくスノーボードを楽しみ、好きになってもらえるとうれしいです。

清水さら

TOKIOインカラミ / YAMAZEN

しみず・さら。2009年11月12日生まれ、大津市出身。平安女学院中学校3年。SAJ所属チームは「TOKIOインカラミ」、所属育成チームは「YAMAZEN]、マネジメント所属は「(株)ヤマゼン・ロック・ザ・キッズ」。4歳からスノーボードを始め、小学5年生時(2021年3月)には全日本選手権大会オープン女子の部で優勝。その結果を受けてプロライセンスを取得。2023年にはSAJ全日本選手権2位、2024年にはユースオリンピック2位、SAJ全日本選手権2位、FISワールドカップ第2戦優勝など躍進を続けている。

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