2022.01.12
“オオタニサン”ばりの二刀流!? SUPとカヤックで世界を目指す 【カヌースプリント】 八幡商業高校 岩井壯太
初の国際大会で感じた世界基準
2021年5月に行われた海外派遣選手の選考会で、八幡商業高校カヌー部の岩井壯太(3年)はU 17日本代表の座を射止めた。「タイム的にはよくない。だけど、今まで勝てなかった滋賀の選手にリベンジできた。そこは一つ自信になりました」と振り返る。この結果を受け、今年9月開催の「オリンピックホープス」(チェコ)への参加資格を獲得。コロナ禍で参加を辞退する選手もいる中、岩井は迷わず世界へと羽ばたいた。
「初の国際大会ですし、ずっと世界で戦える選手を目指してきた。コロナの不安はあったけど、大会があるなら行くと決めていた」
将来のオリンピアン候補が集う大会で、岩井は500mと200mのどちらも準決勝に駒を進めた。決勝進出は逃したが、収穫は多かった。「海外選手との体格やフィジカル差はあった。でも、レース序盤ではいい勝負ができた。それを終盤まで継続できるかどうかのスタミナ面に課題は残った。けれど〝これが世界で戦うことなんだ〞と肌で感じられたことは大きいと思います」
高校最後の年、岩井は〝世界基準〞という物差しを手に入れた。
〝二刀流〞は今後も継続
岩井の競技歴は少し変わっている。もともとカヌーをしていたのではなく、小学5年から続けているのはボードに立ってロングパドルを操るSUP(スタンドアップパドルボート)競技。高校1年の2019年には年齢制限のない全日本選手権エリートクラスで4位に入り、高校2年の2020年には国内最高峰のSPPL(SUPプレミアムリーグ)プロリーグで4位に輝いている。カヌーを始めたのは高校から。つまり、競技歴3年足らずで年代別の日本代表に上り詰めたわけだ。
2つの競技を並行すると、どうしても練習時間が足りない。二兎を追う者は一兎も得ずになりかねないが、岩井はこれからもSUPとカヌーの二刀流を続けるという。そこにはこんな思いがある。
「(レジャーとは別に)競技としてのSUPがあることを知らない人も多いと思う。でも、僕がカヤック(カヌー)も続けて、世界で活躍すればSUPを知る機会も増えると思う。その逆もあると思いますし、両方で世界と戦って、多くの人に両方の競技を知ってもらいたい」
大学ではカヌー部に所属し、個人でSUP競技も続ける。
「カヌーでは大学王者、SUPでは国際大会出場をまず狙いたい」
〝オオタニサン〞ことMLBの大谷翔平は投手と打者の二刀流で世界を騒がせた。二兎追う者しか二兎は得られない、を証明した。岩井壯太も同じく二兎を追い続ける。
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岩井壯太
八幡商業高校
いわい・そうた。2004年3月26日生まれ、野洲市出身。北野小学校、野洲北中学校を経て八幡商業高校へ。現在3 年。父の影響で小学5年からSUP(スタンドアップパドルボート)競技をはじめた。高校2年時には2019年全日本選手権エリートクラス4位、2020年にはSPPL(SUPプレミアムリーグ)プロリーグ4位。高校からはじめたカヌースプリントでは、高校3年の近畿大会シングル500mで2位、ペア&フォアで優勝。インターハイではフォア200mで6位入賞。U17日本代表として今年9月にチェコで開催されたオリンピックホープスに出場。173㎝、74㎏。