2021.12.28
2021年もあと数日。 曽野政男
2021年もあと数日。
先日、その年の世相を漢字一文字で表す師走恒例の「今年の漢字」が発表され「金」に決まった。
東京オリンピック・パラリンピックで日本人選手が多数の「金」メダルを獲得したことが、一番の大きな要因だろう。
しかし、私にはその漢字一文字では、表せない一年だった。
本来なら57年振りの東京オリンピック・パラリンピックということで、この一年は明けても暮れても、オリンピック・パラリンピック一色。今年を表す一文字も「金」で納得していただろう。
だが、新型コロナウイルスの感染拡大する中で、東京オリンピック・パラリンピックを開催されしたという、矛盾がそこに立ちはだかった。
それは、オリンピックの幕開けを告げる3月25日からスタートした「聖火リレー」でも顕著に現れた。
感染が拡大する中でスタートしたこともあり、連日のニュースで報道されるのは、オリンピック開催への懐疑的なコメントと、公道走行中止や聖火リレーに伴うトラブルばかりで、完全アウェー。
オリンピックへの機運を盛り上げるどころか、世論の反発という「空気」の逆風が、吹き荒れるばかりだった。
私自身5月27日聖火リレー走者として、走ることが出来たが、
手放しで喜べる状態ではなかった。
なぜなら、私は57年前の東京オリンピック聖火リレーをこの目で見ているからだ。
沿道からは大きな声援が送られ、
大会本番への期待が盛り上がり、まさにお祭り気分。オリンピックが来るぞ!来るぞ!あの日本国中を熱狂の渦に巻き込んだ盛り上がりは、今も私の中に鮮やかに残っている。
だから、2013年に東京でオリンピック開催が決定した時に、絶対に聖火リレー走者になるという思いなり、熱いメッセージを組織委員会に届けその願いを叶えたのだ。
そんな熱い思い入れがある中での、今回の聖火リレー走者だったので、聖火リレーが始まってから複雑な思いが日増しに募った。
当日も「沿道での観戦自粛」「密はさけてください」「声は出さないでください」などなどで、自分が思い描いていたあの1964年の聖火リレーとは、程遠いものに…
また、本格的な競技が始まり、ニュースでは感染の現状をのべた後、「○○選手がメダルを取りました」こんな報道が毎日のように続いた。
ということで、やはり今年を「金」の一文字で表すということは、私には出来ない。
私の2021年は、「金」「禍」と言う文字が表裏一体と言うことだ。
やはり、オリンピックは「平和の祭典」スポーツは、平和であるから楽しめるのだ。
だから、2022年は、コロナが終息して、諸手を挙げて喜べるような、一年になる事を願わずにはいられない。