2019.05.31

[卓球]甲西高校 卓球部

昨今、スポーツ強豪校でもない普通の公立高校が、全国の舞台で躍進するのは難しくなっている。 1985年に創部3年目の甲西高校野球部が、甲子園準決勝へと快進撃したときも”ミラクル甲西”と呼ばれた。 そんな甲西高校でいま、卓球部が存在感を表し始めている。

3月に開かれた全国選抜卓球大会シングルスの滋賀県代表は、同校の前田真希(3年)と瀬古友里菜(2年)だった。 中学3年の夏季総体では、前田は県大会1回戦負け、瀬古は地区大会予選敗退で県大会すら出場していない選手だったというから驚きだ。

この急成長を前田は 「気持ちの変化が大きい。 小学校高学年から卓球を始めて、いつかインターハイになんて思っていたのに、高2の春は県ベスト16どまり…。 悔しくて、自分はどうしたいのかと本気で考えてみた」 と振り返る。その陰には、就任3年目の石田顧問が始めた”卓球ノート”の存在がある。 顧問と部員の間で毎日交わされる交換ノートで、練習内容や課題、試合で負けた悔しさなどが綴られている。

石田顧問は 「これは自分と向き合うためのノート。 自分の問題点や気持ちに自分で気づくことが大切です」 と話す。 卓球の上達はもとより、自分で考え行動する力を育てたいという狙いだ。 最近では、生徒らの練習に取り組む姿勢が変わったことを実感しているという。

「うちの部にエリートはいません(笑)。 前田や瀬古を始め、素直に努力できる普通の子がいるだけです」 とも。 卓球部のスローガンは 『Make a Miracle』。 昨年秋の総体で瀬古とダブルスを組んだ下村萌香(3年)は、高校から卓球を始めた選手だが、近畿大会ベスト16の結果を残した。卓球部のミラクルはすでに始まっているのかもしれない。

5月30日から始まる春季総体の勝敗が夏のインターハイ出場を決定する。 3年生にとっては最後のチャンス。”ミラクル甲西”の言葉が再び席巻することを期待したい。

甲西高校 卓球部
Team Profile/部員30名。3月の全国高等学校選抜卓球大会シングルス(2部)に、キャプテン前田真希(まえだまさき・3年)と、瀬古友里菜(せこゆりな・2年)が出場した。部のスローガンは『Make a Miracle』。

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