2022.04.21
武器のドリブルを"びわこ"で磨き 3年生でヴィッセル神戸へ加入内定 泉 柊椰 びわこ成蹊スポーツ大学[サッカー]
4月から最終学年となる湖国ゆかりの大学アスリートたちに、この1年にかける想いを聞いた。また4月から大学生になる注目の滋賀出身選手も紹介。2022年を熱くさせるのは果たして誰だ。
サポーターから愛される"三苫風"のドリブラー
2023年からヴィッセル神戸入りが内定している泉柊椰は、びわこ成蹊スポーツ大学で初めて3年生にJ内定が決まった選手だ。全国的に内定選手の若年化が進んでいるとはいえ、相当な実力がなければ早々に声はかからない。他チームからのオファーを待つという選択肢もあった中で、泉は二つ返事でヴィッセル神戸に決めた。〝世界の〞アンドレス イニエスタや日本代表の大迫勇也らと同じチームで戦えることに魅力があったのも確かだが、決め手は神戸サポーターの存在だったそうだ。
「ヴィッセル神戸U-18に所属していた頃からずっと応援してくれているサポーターさんたちがいます。大学の試合もよく観に来てくれて、いつも応援してくださっていた。こんなに自分は愛されているのかと思っていて…。もちろん、アカデミー(下部組織)育ちとしてはヴィッセル神戸のトップチームに憧れもありましたが、決め手はサポーターさんの存在ですね」
甘いルックスも人気を集める理由だが、最大の魅力は持ち味のドリブルだ。なにわっ子らしく「三笘風。自分から寄せていってます(笑)」と冗談を交えて形容するドリブルは、日本代表の三笘薫(ベルギー/ユニオン・サン=ジロワーズ)を彷彿させる変幻自在なもの。相手DFのタイミングを外すセンスや鋭いキレ味はまさに〝三笘風〞だが、「寄せていってます」といって簡単に体得できるものではない。体得に一役も買ってきたのが、びわこ成蹊スポーツ大学という環境だった。
「〝びわこ〞の学生は、基本、全員、アスリート。キャンパスを歩く陸上競技部員を捕まえて速く走れるコツを教えてもらうこともできます。そして各専門分野のスポーツに精通している先生たちもいっぱい。サッカー部の方針は自分で課題を見つけて、それを克服していくというものです。なので、どうすればドリブルを磨けるかを考えた結果、いろんなスポーツの要素を取り入れてみようかと。そういう意味で〝びわこ〞は恵まれた環境でした」
古武術の呼吸法を取り入れドリブルのキレが増す
例えば、スポーツ栄養学の武田哲子准教授から体作りに必要な要素や食事方法といったものを教わり、筋力を増やしながら約5㎏の体重増に成功したという。「フィジカル的にはまだまだ華奢ですが、体力テストではジャンプ、瞬発力、スピードなどの全ての項目で数値が向上した」そうだ。
興味深いのは、古武術の呼吸法をドリブルに取り入れたことである。「ゆったりとしたところから一気に息を吐くとか、丹田に神経を集中して呼吸するとか。古武術をやられている先生に色々と呼吸法を教えてもらいました。それをドリブルに重ね合わせることで緩急の落差が大きくなったり、切り返しのキレが増したり。あぁ、三笘に寄ってきてんなぁって実感することもできました」
大学ラストイヤーの今年、泉は関西学生リーグで15得点10アシストという目標を掲げている。優秀賞を受賞した昨シーズンは10得点1アシスト。それを考えると、高い目標設定である。理由を聞くと意外な答えが返ってきた。
「結果を残さないと、アツさん(ヴィッセル神戸の三浦淳寛監督)にアピールできないですから」
2月21日に日本サッカー協会から「2022年JFA・Jリーグ特別指定選手」の承認を受けた泉は、在学中の今年でもJリーグの試合に出られる。「モチさん(びわこ成蹊スポーツ大学サッカー部の望月聡監督)からは、Jリーグを優先してもいいと言ってもらっています。今シーズン中にJ1デビュー、マジで狙ってます」
関西学生リーグ15得点10アシストという目標には、J1デビューという先の狙いがあった。〝びわこ〞で培ったドリブルを、プロのピッチで見られる日を楽しみに待ちたい。
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泉 柊椰
びわこ成蹊スポーツ大学
いずみ・とおや。2000年12月2日生まれ、大阪府出身。柏田SCからヴィッセル神戸U-18を経て、びわこ成蹊スポーツ大学へ。2016年U-16日本代表、2019年全日本大学選抜。174㎝、62㎏。