2021.11.18

あの時、選手は・・・ #3澁田怜音

天と地を味わった2日間。
プレ奈良→香川を振り返る

チームN0・1のポジティブ男

盛岡南高校3年の頃、特別指定選手とした地元・岩手ピッグブルズ(B2)でプレーした澁田怜音は、当時のBリーグ最年少得点を記録し話題を集めた。駒沢大学に進んだ後も特別指定選手としてプロのコートに立ち続け、2019年に参加した佐賀バルーナーズでルイス・ギルHCと出会う。そして昨シーズンは大学バスケ部を退部し、佐賀でプロキャリアをスタートさせた。レイクスでギルHCとの関係が最も長く、最も深い選手が澁田である。
性格はすこぶる明るい。同学年の野本大智が「とにかく元気」と言えば、同じく佐賀からレイクスにやってきた川真田紘也は「レオン(澁田)の声を聞くと元気が出る」と話す。ポジティブを絵に描いたような性格のようだ。

香川戦のハーフタイムで

9月11日に行われたバンビシャス奈良とのプレシーズンゲームでは、その前向きな性格がいい方向に出た。コートを駆け回った澁田は17得点、5アシスト、6リバウンドの活躍で勝利の立役者になった。試合後には「コーチが求めているバスケットをチームとしてできた。勝ち負けではなく、内容が良かったと思います」と充実した表情をのぞかせた。
だが、翌日は第2Qで相手にパスをスティールされファストブレイクされるなど、らしくないプレーが続いた。ハドルを組んだ場面では自然と眉間に皺を寄せてしまった。ポジティブな男は明らかにフラストレーションを溜めていた。
5点ビハインドで迎えたハーフタイム。ギルHCは澁田だけを引き止めてベンチでこう話した。
「レオ(澁田)のことを信頼している。バスケットIQが高いことも知っている。佐賀の頃から一緒に戦ってきたんだからね。でも、どんな選手にもアップダウンはある。昨日は良かったけど、今日は自分たちがやらないといけないことを理解できていない。ドリブルをし過ぎて相手にプレッシャーをかけられ、いいオフェンスの終わり方ができていない。それが原因で自分たちの強みであるディフェンスに集中できていない。もし、レオが自信を失っているのなら、次に向けて生かせるように準備をしなさい」
澁田は2日間で天と地を味わった。だが、コーチとの信頼はさらに深まった2日間でもあった。

澁田怜音

滋賀レイクスターズ

しぶた・れおん 1998年8月22日生まれ、岩手県出身。岩手県盛岡南高校、駒澤大学。2017年の高校3年時に特別指定選手としてB2岩手ビッグブルズでプロコートに立った。その後、佐賀バルーナーズを経て、今シーズンから滋賀レイクスターズへ。175㎝、65㎏。

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