2021.08.18
堅守を武器に県大会初V。 勢いに乗り甲子園切符を狙う。
〝ベスト4止まり〞を克服
綾羽高校硬式野球部が今春の滋賀県大会で優勝し、初めて48校の頂点に立った。滋賀県1位代表として出場した近畿大会は優勝校の大阪桐蔭を最終回まで追い詰め、5-7で1回戦敗退したが収穫も少なくなかった。これまで県大会で準決勝敗退を繰り返し、決勝の壁に阻まれてきた綾羽。守備の弱点を克服して、一躍夏の優勝候補に名乗り出た。
昨秋の県大会準決勝。守備のミスが相次いで2‐4で近江に敗れ、「またか」と肩を落とすナイン。2019年春の県大会から、準決勝敗退は5大会連続。この敗戦を機に、同部OBで就任5年目の千代純平監督は守備に重きを置いたチーム再構築を決断。バッテリーと3塁手、中堅手以外5人の守備位置を入れ替える大胆なコンバートを提案していった。
「せっかくなら準決、決勝で勝てるチームに生まれ変わろう」野球に対する考え方から見つめ直した。「野球は守備側からゲームが始められる数少ない球技。だからこそ守備で主導権を握ることが大事」と千代監督。守
備の重要性は、トーナメント戦や強敵相手なら一層高まる。選手たちは一冬かけて実戦練習の中で守備力とスローイング力を養い、プレッシャーがかかる状況下で一瞬の判断力も鍛えてきた。
「今までは守備でミスをすると打撃の調子も上がらないことが多かった」と話す中島陸尊(3年)は、セカンド転向後に守備力だけでなく打力もアップ。内野ならどこでも守れる器用な中原果也(3年)をあえてファーストに起用すると、安定した捕球力でチームに貢献した。
「みんな1塁にいい送球をしてくれるから取りやすい」と話す中原の笑顔が、コンバートを経て一丸になれたという手ごたえを感じさせる。そうして大幅なコンバートと守備力強化が奏功し、昨秋11失点(4試合)を今春4失点(5試合)まで減らせたことが県初Vの勝因となった。
県覇者になってもどん欲に成長する。近畿大会の大阪桐蔭戦では、試合はもちろんウォーミングアップから強豪に刺激を受けた。目を見張ったのが、機敏な動きで捕球後にクイックスローの構えを入れるキャッチボール。「質の高いキャッチボールは守備に生きる。うちは伝統校ではないから、新しいことをどんどん取り入れよう」と千代監督が呼び掛け、いち早く導入した。そんな意欲的な姿勢が、チームの進化につながっている。
「思い切ったコンバートには不安もあったけど、一人一人がチーム全体を考えて前向きに取り組めた。近畿大会の反省をもとに、守備のレベルをもう一段階上げて夏の大会に臨みたい」と主将の高山心(3年)。
堅守という武器を手に入れた綾羽が、初の甲子園切符を狙う。
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綾羽高校硬式野球部
定時制の軟式野球部から移行して1999年創部。部員68人(マネージャー含む)。同校の強化指定クラブ。2021年の春季近畿地区高校野球滋賀県大会決勝で立命館守山を3-1で破り、春夏秋を通じて県大会で初優勝を果たした。