2018.12.01

[陸上競技・男子400m]近畿大学 河内光起

国体400m制覇の舞台裏にケガを乗り越えた物語あり。

「実は、自分の中では失敗レースなんですよ(笑)」

男子400mの河内光起(近畿大学3年)がそう振り返るのは、10月の福井国体。46秒43で成年男子の部を制した決勝レースの話だ。
「9月の全日本インカレで自己ベストを更新して3位に入っていましたし、調子は悪くはなかった。 でも、準決勝で内転筋がつってしまって…。ギリギリで決勝には残ったけれど、イメージ通りに前方に突っ込めなかったんです」

もちろん優勝はうれしいが、納得はできないレースだったようだ。 河内は中学から陸上競技をはじめ、しばらくは100mの選手だった。 転機は八幡工業高校1年の時。
「1周380mくらいの校舎周りを走った時、先輩といい勝負ができた。あれ?と。 それでマイル(400m)も出てみようかなと思いました」

最初に出たのは高校2年の春の記録会。 ここでは53秒99だったが、その約1ヶ月後の春季総体では51秒前半をマーク。 同年の秋季総体では50秒の壁を突破して49秒93を打ち立てた。 その後も、レースに出ればほぼ自己ベスト更新。 高校3年にはインターハイ出場を果たすほどに成長した。 「とにかく結果が出る。 楽しかったですね」 と河内
は懐かしむ。

だが、近畿大学1年の全日本インカレで骨折。 ひたすら突っ走ってきた競技人生は”小休止”を余儀なくされた。 復帰しても今度は太もも前の肉離れなど違う箇所を痛めてしまう。 「思い切ってフォームの見直してみるか」。 悩んだ末に、決断を下した。

修正したのは接地面。 ややつま先で着地していたのを、中央のフラット面に変え、地面からの衝撃を軽減させようとした。 だが、それではスピードが失われる。 カバーするために、上半身や下半身を一から強化し直した。

試行錯誤してようやく納得できるフォームになったのが大学3年の今年。 徐々にタイムを上げていき、9月の全日本インカレでは自己ベストを更新( 45秒96)した。
「フォームを変えるのは不安もありました。 でも、今はよかったと思いますし、ケガしたことも悪くはなかったのかなと思えるようになった。来年はアジア選手権やユニバーシアードといった大きな大会があるので、まずはしっかりそこを目指したい」

400mに転向してから歩んできた”自己ベスト更新”というレール。河内は再びそこを走りはじめた。

河内 光起

近畿大学

Profile/かわうち・みつき。1997年6月2日生まれ、東近江市出身。八日市南小学校、聖徳中学校、八幡工業高校を経て、近畿大学へ。現在3年生。中学から陸上競技をはじめ、最初は100mをメインに活動。高校2年から400mに転向し、3年時には近畿大会5位に入り、インターハイに出場。大学2年から日本選手権に出場。今年9月の全日本インカレでは自己ベスト(45秒96)を更新。続く国体で優勝を果たした。

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