2024.11.01

全中で男子ダブルスカル2・3位。 女子舵手付きクォドルプル2位!

「太陽のような」クルー

 2024年7月に開催された「第44回全日本中学校選手権大会」。瀬田中学校ボート部(女子)が24年ぶりに総合優勝を果たした。入賞3種目の中で、最高順位は女子舵手付クォドルプルの準優勝。それも1位とわずか2・71秒差の惜しいレースだった。松本菜那(3年)は「500mの中間地点くらいで1位のクルーが減速すると思っていた。でも、落ちなかった」と振り返る。キャプテンの大津薫子(3年)は「スタートに成功してスピードにも乗れていた。優勝できるかなと思っていた中で(相手に)予想外にガッと行かれた」と話す。順調なレース運びだっただけに、優勝を逃した悔しさもあった。

 とはいえ、準優勝という結果はむしろ「うれしい」結果だった。宮村絢音(3年)は「レースが終わった瞬間はほっとした。苦しい練習が実を結んだから」と話す。八田芽来(3年)は「週3回ほどの乗艇練習では1回に6㎞くらい漕ぎます。ボートに乗らない時は陸練でローイングマシンを漕いだり、冬場には6㎞走。しんどかった」と目を細める。

 それを乗り越えられたのは「太陽のような明るさ」があったからだと脇坂莉央(3年)は笑う。「マシンで2000mを漕ぐ練習(レース距離の2倍)は本当に苦しくて…叫ぶようになりました。気がついたらみんなも叫ぶようになって(笑)。レース中も叫ぶ。楽しみながら乗り越えてきました」 だから、準優勝のみんなの感想は「うれしい」なのだろう。


 

ライバル関係に終止符

 全国を舞台にバチバチの真剣勝負を展開したのが、瀬田北と瀬田中の男子ダブルスカルだ。中学2年の選抜大会では1人乗りのシングルスカルで戦っていた4人。中学3年から各々がダブルを組んだ。

 初対決は琵琶湖に初夏を告げる5月の朝日レガッタ。その時は「センスの良い2人」と瀬田中の山室拓矢先生が評す松田樹・石川凛太朗(3年)が8秒以上の差をつけて圧勝した。松田は「優勝もできましたし、最初のレースにしてはまぁ良かった」と振り返った。

 負けた瀬田北中はローイングマシンのタイムがチームでトップ2の藤井翔吾・川上空が組んだパワー型のクルー。呼吸を合わせる期間が短かった朝日レガッタは3位に終わった。藤井は「正直、ここまで差をつけられるとは思わなかった」そうだ。

 それから約2ヵ月半。同じ瀬田川水域で切磋琢磨し、最終決戦の舞台〝全中決勝〞を迎える。

 先行したのは瀬田。前半で差をつけて逃げ切るいつものレースを展開した。だが、中間の500mあたりで朝日レガッタの雪辱に燃える瀬田北が追い上げてくる。川上は「このレースは先行逃げ切りではなく、後半に追い上げようと。それがうまくハマりました」と言う。

 結果、瀬田北が逆転で2位。瀬田は最後まで粘りを見せたが3位となった。敗れた瀬田の石川は「中間地点で瀬田北が来てあせりました。でも、乱れることなく最後まで漕ぎ切れた。負けたのは悔しいけれど、悔いはないです」と話す。

 両クルーの関係性について「良きライバル」と即答した4人。お互いに高めあい、全国の決勝で戦った経験はそれぞれの次のステージで活かされるに違いない。

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