2023.07.01

昨夏のインハイ連覇から11ヵ月。 〝大商コンビ〞が世界へ羽ばたく。原田愛実・勝見 麗

龍谷大学を有名にしたい

7月上旬のアーチェリー世界ユース選手権U 21女子団体(アイルランド)に、大津市出身の原田愛実(龍谷大学)と勝見 麗(日本体育大学)が出場する。2人は昨年のインターハイ女子団体で大津商業高校を2連覇へ導いた立役者。あの偉業から約11ヵ月、今度は〝世界〞を驚かせにいく。

U 21日本代表の選考は昨年11月と今年4月の2段階で行われた。原田は「昨年の選考会はまだ高校生だったので、自分がU 21に挑戦するとは思っていなかった」とやや夢見心地だったことを明かす。だが、12人中5人の狭き門をくぐりぬけて最終選考会に駒を進めると、闘争心に火が灯った。

「龍谷大学はまだ強豪校と呼ばれる存在ではないと思います。私が1位通過することで有名にしたい」。
大学での練習に加え、母校の大津商業高校で技術を磨き、最終選考会1日目を1位で通過してみせた。だが、最終的には僅差で敗れて2位での代表入り。
「正直、悔しい。それを晴らすわけではないですけど、世界ユースでは自分を貫いてメダルを取って帰ってきたい」。原田は気持ちのギアをさらに上げた。

本当の意味での〝高校卒業〞

一方の勝見は絶不調だった。
理由は「滋賀を離れて(大津商業高校の)中井(貴久)先生から指導を受けられずに不安だった」から。
最終選考会1日目の成績は5人中4番目。代表3枠のボーダーラインを下回っていた。

このままでは代表落ちになる。

追い詰められた勝見は日本体育大学の指導者と相談の上、恩師・中井監督を訪ねることにした。
幸いにも、中井監督はU 18代表選考会に挑む中川茉穂(大津商業3年)の引率で同じ会場に来ていた。
「中井先生からフォームを修正してもらいました。なんとなくプレッシャーも和らぎました」

翌日、勝見は本来の強さを取り戻して3位で代表の座を射止めた。代表3枠のうち2人が大津商業高校のOG。
だが、中井監督にはうれしさと、複雑の感情があった。
「原田のプレーに落ち着きが出て、大学生らしさを感じた方で、2位を悔しがったのは流石だなと感心させられました。勝見に関しては…もう大学生ですから。しかし、これが卒業式だという気持ちであの場に立っていたので、精一杯のアドバイスをさせてもらいました」

異なる筋書きで代表に入った2人が、今度は初の国際大会で新たな歴史を作る。

関連記事