2025.12.19
心臓病を乗り越え滋賀国スポへ。 8年の片思い、〝入賞〟で実を結ぶ。

強豪・彦根翔西館高校陸上競技部の女子キャプテン山口華穂(3年)は、小学生の頃から2025年の滋賀国スポで活躍する日を夢見てきた。中学3年時には100mで県2位に入るなど着実に成長。だが、高校1年の冬に思わぬ形で競技人生にブレーキがかかってしまう。心臓病が発覚したのだ。
「病名は発作性上室性頻拍。運動をすると心拍数が一気に280近くまで上がってしまう病気でした。実は中1の頃から症状はあったのですが、病気とは思わずに部活をしていました。でも、高1の冬には少し動くと息が詰まる感じで、もう耐えられなくなりました」
長距離走も得意で、小学5年の頃には1000mを3分30秒で走っていたという。だが、高校1年時は5分もかかるようになっていた。
診断後すぐに手術を行い、負担の大きいジャンプ系メニューは行わないなど制限を設けて練習を再開した。徐々にパフォーマンスは戻っていったが、高校2年時に再び心臓病を患ってしまった。
「あの時はすごく落ち込んで、もう陸上を止めようと思いました」
だが、「陸上が好き」という気持ちを隠すことはできなかった。母と二人三脚で練習に打ち込んだ中学時代の日々も思い出した。なぜ、そこまでして競技を続けてきたのか。自問自答の末に出した答えは「滋賀国スポに出たい」だった。
8年越しの想いが結実する
2度目の手術にも成功した山口は病も完治し、徐々にパフォーマンスを上げていった。医師からは「大丈夫」というお墨付きをもらい、慣れない300mHでなんとか結果を残した。そして代表選考会議の翌朝、恩師の東 大輔顧問から選出の知らせが届いた。
「先生から〝決まったよ〞って電話をいただきました。8年間、片思いだった滋賀国スポに出場できるのかと思うと、うれしくて…。めっちゃ泣きました」
本番では地元の大声援を受けながら300mHで6位入賞を果たした。「メダルを取りたかったので悔しい気持ちはあります」と言いながも、その表情は晴れやかだった。

-
山口 華穂
彦根翔西館高校
2007年8月15日生まれ、多賀町出身。多賀小学校、多賀中学校を経て彦根翔西館高校へ。現在3年。小学3年から陸上競技を始めたが、その時はソフトテニスや水泳、ダンスなどと並行して活動していた。陸上競技に専念したのは小学5年から。中学3年時には100mで滋賀県2位(12秒98)に輝き近畿大会に出場。高校1年の夏からハードル走を始め、今年9月の第41回U20日本陸上競技選手権大会では400mHで4位入賞を果たした。滋賀国スポでは300mHで6位入賞も果たしている。








