2025.12.18

世界陸上に出場したあの選手も熱血指導!! 〝好循環〟を未来へつなぐ国スポのレガシー

第9回滋賀小学生陸上チャレンジフェスタ(シガリク)

トップ選手の〝本気〞に目がテン

 国スポ選手のパフォーマンスを間近で体感できる陸上教室「第9回滋賀小学生陸上チャレンジフェスタ(シガリク)」が11月15日に平和堂HATOスタジアムで開かれ、県内の小学5、6年生約200人が参加した。

 国スポで滋賀県代表として戦った、中学生から社会人までの15人が指導。中には今年の世界陸上で日本を沸かせた円盤投の湯上剛輝(トヨタ自動車)や走高跳の瀬古優斗(滋賀県スポーツ協会/FAAS)の姿も。小学生はアスリートの実演を見たりアドバイスを受けたりして競技の理解を深め、100m、1000m、80m障害、走高跳、走幅跳、ジャベリックボール投の記録会に参加した。

 トラックではアスリートが小学生と横並びでスタートし、手加減せず走る。大差がつくが、子どもたちはトップレベルの速さを体感し、鮮明な思い出となるだろう。このスタイルはアンケートで保護者から寄せられた声を取り入れたそうだ。アスリートがサインや記念撮影に笑顔で応じるなど、距離感の近さも印象的なイベントだ。

楽しさを伝え、初心に返る

 「アドバイス通りに走幅跳の踏み切りをしたら、自己ベストが50㎝以上伸びてうれしかった」と声を弾ませたのは、滋賀レイクスターズ陸上スクール生の後藤佑吉さん(大津市立逢坂小学校6年)。国スポ女子4×100mリレーで5位入賞した山中日菜美(滋賀陸上競技協会)はスタート時の前傾姿勢などをアドバイスし、「小学生たちののみ込みの早さと修正力の高さに感心しきり。とはいえ技術的なことより、一番伝えたいのは走ることを楽しむこと。私たちにとっても初心を思い出せるいい機会です」と話し、男子100mなどに出場した林 拓優(トーチライト)は「大きな可能性を秘めた子どもたちに、頑張れば国スポ選手のようになれるという目標にしてもらえたら」と笑みを浮かべた。2人は過去最多得点を獲得した陸上滋賀チームの男女主将を務めた。

 シガリクが始まったのは、国スポの滋賀開催が内定した2016年。国スポの少年カテゴリー(中高生)で主力となる世代の強化を図ろうと、滋賀陸上競技協会が年1回開催してきた。今では、小学生のときシガリクに参加して国スポ代表となり、シガリクで指導者として恩返しする好循環も生まれている。

 2025年に向けて始まったイベントだが、来年以降の開催も決定している。陸上経験の有無に関わらず幅広い小学生を巻き込み、国スポのレガシーとして引き継がれてほしい。

TEXT/KEIKO NAKAMURA

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