2023.01.05

滋賀レイクスターズから独立。 フリーアスリートとして再出発。瀬古優斗・新岡浩陽

言い逃れできない環境へ

 カヌースプリントの日本トップ選手である新岡浩陽が2022年10月に滋賀レイクスターズから独立し、フリーアスリート(滋賀県カヌー協会)の道を選んだ。理由はある疑問が頭に浮かんでいたから。

「今28歳。選手としては24年のパリ五輪、28年のロス五輪までがピークを維持できる期間だと思います。
あと6年。その限られた時間の中で、オリンピックに出るには仕事と競技の両立は難しいのではないか。
自分を言い逃れできない環境へ追い込まなければオリンピックなんて…。
そんな想いから6年半お世話になった滋賀レイクスターズを退社し、競技に専念できる道を選びました」

退社したことで1日6時間ほどの余裕が生まれたという。
「時間に余裕ができた分を休養や睡眠に充てました。
食事にも気を遣い、結果的に約1ヶ月間で筋肉量を増やし、体重5㎏増に成功しました。
休養と栄養がいかに大切かを改めて実感しています」 

そんな新岡は2023年3月20日〜26日に行われる「2023カヌースプリント海外派遣選手選考会」での日本代表復帰を見据えている。「まず海外派遣選手にならないとその先が見えてこない。慣れ親しんだ地元の府中湖(香川)での開催ですし、絶対に代表復帰します」 

背水の陣を選んだ新岡の挑戦はすでに始まっている。

23世界陸上を視野に入れて

新岡の独立から約1ヶ月後、走高跳の瀬古優斗も滋賀レイクスターズを離れ、フリー(所属は滋賀県陸上競技協会)になった。
「新岡さんと同じく、競技に専念したいというのが独立の理由です。
滋賀レイクスターズ時代は自己記録を更新できましたが、〝もう一つ上〞に行くためには働きながらでは難しいのかなと考えました」 
24歳の瀬古は滋賀県記録となる2m 27という自己ベストを持っている。昨年の静岡国際では3位表彰台に上がり、2022年11月時点でのワールドランキングは36位と調子は上々だ。
だが、〝もう一つ上〞に行けるかどうかの瀬戸際にいるのも事実のようだ。

「来シーズンの目標は世界陸上に出場することです。
来年6月までに参加標準記録の2m 32をクリアし、日本選手権3位以内に入ること。
そしてワールドランキングは36位以内。その先の24年パリ五輪を考えると、もう一つギアを上げないといけないと思います」 

瀬古も独立後に1日6時間ほどの余裕ができたという。取材時はフリーになってまだ2週間とあって新岡ほどの成果は出ていなかったが「(パリ五輪までの)プランを見直す時間を確保できたのは大きい」と笑顔を見せた。

マネジメント会社と契約した2人は、スポンサーを募りながら競技を続けていくことになる。
滋賀から世界へはばたく彼らに、これからも熱いエールを送ってほしい。

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