2022.05.20

大学ラストシーズンに大躍進 国体と全日本インカレで初入賞 弥永奈々 エアフォルク  [アルペンスキー]

滋賀県勢初の6位入賞

2022年2月18日の第77回国民体育大会冬季大会スキー競技会(秋田)の女子ジャイアントスラロームで弥永奈々(当時、立命館大学4年)が6位入賞を果たした。この種目で滋賀県勢が入賞したのは初めて。158㎝の小柄な湖国スキーヤーにとっても忘れられないレースになった。

「国体は中学3年生の頃からずっと出場させていただいていますが、これまで入賞経験はなく、7回目でやっと滋賀県に貢献することができました。素直にうれしい気持ちでいっぱいです。女子ジャイアントスラローム競技では、国体入賞が滋賀県で史上初ということで、新たな歴史を創ることもできてよかったです。生まれ育った滋賀県を代表して、国体で6位になれたことを誇りに感じています」

ただ、ちょっぴり残念なこともあったという。56秒83というタイムに関してである。
「優勝者が55秒35、2位は56秒31。1位とは差が大きく開いてしまいましたが、(0・27秒差の)2位は狙えたのではないかという印象です。コースの中盤で手を旗門に引っ掛けてしまい、タイムロスとストックを落としてしまうというミスがあり、それがなければ…と悔いが残ります。言い訳になってしまいますが…(笑)」

アクシデントがなければ表彰台に立てたかもしれない。その悔しさをぶつけたのが、翌週の2月24日に行われた第95回 全日本学生スキー選手権大会(秋田)だった。

充実のオフトレが飛躍の要因

翌週の全日本学生スキー選手権(全日本インカレ)で、弥永は57秒08、57秒96と2本きっちり揃えて5位入賞を果たした。3度目の全日本インカレ挑戦で自身初の入賞だった。

「1年生の時は何もすることができず、2部に降格してしまったので、次こそは必ず1部でポイントを獲得するぞという気持ちでした。4年生として、結果で、立命館大学体育会スキー部に貢献することができてよかったです。1回目(の滑り)は上位2人に大きく差を開けられてしまいましたが、ポイントを獲ることが1番の目標だったので2回目もあせらず落ち着いて満足できる滑りができました。タイムや順位に悔いはありません」

国体と全日本インカレで結果を残せた要因は、オフシーズンの継続的なトレーニングと秋に行った1ヶ月間の海外遠征だったという。「オフシーズンは雪上での練習ができず、陸上での体づくりが重要になります。ウェイトトレーニングはもちろんですが、今シーズンは立命館大学の設備を利用して低酸素トレーニングを取り入れました。標高2000〜3000mほどの酸素濃度で効率的なトレーニングをすることができ、身体能力の向上につながったと思います。また、1ヶ月間のヨーロッパ遠征ではすばらしい環境の中で、質の高い練習ができました。今シーズンは雪が多かったため、いろんな斜面で滑ることができ、最後の1週間は苦手意識のある急な長いコースで練習もできました。その成果を国体や全日本インカレで出せたのだと思います」

春からは社会人スキーヤー

今春に立命館大学を卒業した弥永は、社会人スキーヤーとして競技を続けていく。湖国生まれ、湖国育ちの弥永は、ワクワクと不安の両方を感じているようだ。

「今シーズンで学生スキーは終わってしまいましたが、社会人になってもスキーを続けます。アルペンスキーはもちろん、基礎スキーにも力を入れて取り組んでいこうと考えています。〝働きながらスキーをする〞のは初めてで少し不安がありますが、どちらも精一杯がんばりたいと思います」

来シーズンの目標は「アルペンスキーで国体の表彰台、基礎スキーでは全日本トップ10」。さらなる高みをめざす〝湖国の小さな巨人〞が、次はどんな朗報で滋賀県を明るくしてくれるのか。今から楽しみである。

 

弥永奈々

エアフォルク

やなが・なな。1999年11月12日生まれ、草津市出身。老上小学校、立命館守山中学、立命館守山高校を経て、立命館大学へ。2022年春に卒業。5歳からスキーを始め、11歳から本格的にアルペンスキー競技を開始。高校3年のインターハイ大回転で8位入賞。2021年度は、国体女子ジャイアントスラローム(大回転)で6位入賞、全日本インカレは5位入賞。158㎝。

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