2021.03.24

2年連続で全日本インカレに出場。 成長の要因は“加圧&メンタルケア” 聖泉大学女子サッカー部

急成長の裏に加圧トレ

一見、ありふれたウォーミングアップ風景だが、後藤剣監督が「みんなサッカー用の加圧パンツを履いています」と言った後、ただのアップには見えなくなった。

加圧式トレーニング(加圧トレ)用パンツは、太腿をベルトで絞り、血流を制限することで軽い運動でも筋トレ並の効果が期待される器具である。つまり、聖泉大学女子サッカー部の選手たちはアップと同時に筋トレも行っていることになる。後藤監督は「私ならすぐに音を上げます」と笑った。

加圧トレを導入したのは5年ほど前から。当時、大学女子サッカー界で導入しているチームはなく、草分け的な存在だった。「フィジカル面で全国レベルに追いつくことができ、筋肉系のケガはほとんど無くなった」(後藤監督)そうだ。

アップと筋トレを兼ねることで時短にも成功し、技術力の向上や戦術理解に多くの時間を割けるようにもなった。その好循環は徐々に結果にも現れるようになり、2018年には国内最高峰の皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権大会(全国大会)に、2019年には全日本大学女子サッカー選手権大会(全日本インカレ)初出場を果たしている。また、2021年1月に開催された全日本インカレでは、1回戦で四国大学に逆転勝利し、2回戦では強豪・徳山大学をPK戦の末に破り、創部初のベスト8入り。著しい成長を見せている。

メンタルケアも躍進の要因

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3年前から取り入れているメンタルケアも躍進の一助となっている。全部員の性格診断を行い、お互いが性格を理解した上でコミュニケーションをとることでチームビルディングがスムーズに運ぶという。ユニークな例として「キャプテン2人体制」が挙げられる。

2人体制は2020年の新チームで初めて実施された。抜擢されたのは、性格が異なる青山美里と西藤加奈(4年)。ある時は緻密に、そして大胆にチームをまとめた。試合でキャプテンマークを巻く青山は「コロナ禍の難しい1年だったので、キャプテン2人体制は本当に心強かった。結果的に2年連続で全日本インカレに出場し、前年を上回るベスト8という結果にほっとしました」と話す。

八幡商業高校出身の西藤も充実感を口にする。その一方で、悔しさもにじませた。「無観客でしたが、インカレ独特の雰囲気を感じられましたし、大会を通して楽しかったです。欲を言えば、あと一つ勝って〝西が丘〞に行き
たかった。その悔しさは後輩たちに託します」

新チームでもキャプテン2人体制を敷くことになった。その一人、大谷琉晏(3年)は「近年、聖泉はいい結果を残しているのでプレッシャーはあります。でも、なんとか2人でチームをいい方向に持っていき、先輩が果たせなかった全日本インカレ4強に入って西が丘(東京・味の素フィールド西が丘)へ行きたい」 と決意を語る。

服部芽恵(3年)は「目標は全員が〝このチームでよかった〞と思えるチームを作ることです。その過程に西
が丘もある。1日1日、成長を続けていきたい」と言う。独自のアプローチで結果を残してきた聖泉大学が、大学女王になる日もそう遠くはなさそうだ。

創部2008年。部員22人。大学敷地内の人工芝グラウンド(彦根市) を拠点に週6回練習。2018年皇后杯JFA全日本女子サッカー選手権大会(全国大会)出 場。2019年には全日本大学女子サッカー選手権大会(全日本インカレ)に初出場。 2020年の同大会では初のベスト8入り。

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