2020.10.05
ソーシャルディスタンスって何? 近藤寛子
ソーシャルディスタンスって何?
コロナ災いのこのご時世で、世間ではソーシャルディスタンスという言葉をよく耳にするようになりました。
一般的にはソーシャルディスタンスを保つという言い方をしますが、距離を置くという意味合いが強いようです。
これによって私たち視覚障害者は生活がしにくくなりました。
まず外出の様々なシーンで制約が生じます。買い物する時、触って形や大きさを確認することが多いですが、まずこれはご法度。
そして、レジを並ぶ時、一定の間隔を空けてくださいとの貼り紙やテープが貼ってあっても見えないし、放送で流しても前の人ととの間隔もわかりません。
駅のホームで迷ってしまった時、これまでであればまわりの人に助けを求めて手引きをお願いすることもできたけれど、触ることをためらう人もいるしと思うと声に出せないでいます。
その他にもいろいろありますが、そんな視覚障害者に対して、何の声もかけずに平気で順番を抜かしたり、触るな!とか、近寄るな!などと罵声を浴びせる人もいたと聞きました。
なんと悲しいことでしょう!!
そのために外出ができずに、ろくに食事も摂れなかった一人暮らしの視覚障害者もいたといいます。幸いにも滋賀県では、リスクを負いながらも感染防止対策を徹底した上で、ガイドヘルパーさんが稼働してくださっていたので、このような出来事は少なかったかとは思いますが、それでも通勤の電車でのソーシャルディスタンスに悩みました。周りとの距離がわからないので、いつ怒鳴られるやらとドキドキして、以前より気を遣って疲れます。
近頃はwithコロナ、新しい生活様式も定着しつつあるので,ずいぶん過ごしやすくなりましたが。ほんとうの意味でのソーシャルディスタンスを今一度考えていただきたいと思います。
例えば、触れなくても声掛けだけでも私たちは安全に動けるものです。
距離を置くことが見て見ぬふりではなく、見守るという心ある姿勢に切り替えるだけでいいのではないでしょうか。
そして困っている人や危ないと感じた時には、しっかりと声をかける善意ある行動をお願いしたいと思います。
それが、もしかしたら大事故になるところを、未然に防げているかもしれません。
そうして、ありがとうの笑顔が飛び交う世の中になれば素敵ですね!!
写真は、私の相棒の折りたたみ式白杖です。
遠征の練習やレースなど、荷物をまとめておきたい時に、バッグにも入って便利です!