2020.03.08KENJI OMIYA

「ダブルダブル」で飛躍を #6 シェーファーアヴィ幸樹

才能は順調に花を開かせている。シェーファーアヴィ幸樹は滋賀のインサイドのローテーション選手として欠かせない存在。日本人では希少な得点−リバウンドの「ダブルダブル」にも期待が膨らむ。

開幕前のレイクスマガジンの記事を覚えている読者はいるだろうか。

(記事リンク)滋賀から進む2020への道/シェーファーアヴィ幸樹(2019年10月公開)

昨夏のFIBAワールドカップ日本代表に選出されながら十分な出場機会がなかった。悔しさと闘志を持ち帰ったシェーファーは「シーズンが終わった時に『お前誰だ?』と言われるくらい、今からは想像できないような選手に成長していたい」と意気込みを語っていた。

あれから5カ月、シェーファーは再び日本代表候補に選ばれると、2月24日のFIBAアジアカップ予選チャイニーズ・タイペイ戦のロスター入りを果たし、7得点をマークした。Bリーグでも見せたことがなかったスリーポイントを決めるなど、以前とは違うインパクトを残した。しかし、コートへ投入されたのは勝利がほぼ決した点差が開いた4Q。感想を問われた22歳は複雑な胸中を明かした。

「合宿では、もっと早い時間帯から出してもらえるよう頑張っていたつもりでした。(Bリーグと並行して強化合宿が行われたことで)疲労もあってディフェンスでのミスも目立ってしまった。悔しさはありますけど、インパクトを残せたのは今までと違う部分だと思います。ただ、"別人になるくらいの成長"というのはまだ見せられていないかな」

経験積み"コートに立つ怖さ"なくなった

成長を遂げるにはプレータイムが必要。そう考えてリーグ2連覇のアルバルク東京から滋賀レイクスターズへ移籍した。ここまで全39試合に出場し、平均14分以上のプレータイムを確保。レイクスの外国籍選手のプレータイムがリーグの中でも比較的短めに抑えられているのはシェーファーがインサイドでしっかり役割を果たしているからとも言える。

特に2020年に入ってからは攻守に積極性が光る。ショーン・デニスHCは、シェーファーの印象的なプレーに、1月15日にアウェーで行われた琉球ゴールデンキングス戦で、ペイントエリア内でジャック・クーリーとの1対1を制して決めたフックシュートを挙げる。同26日の島根スサノオマジック戦では齋藤拓実のアシストから2発のダンクを披露。2月に入ってからは自身初となる"二桁リバウンド"を2試合でマークするなど、スタッツにも残る活躍が目立つようになってきた。

「プレータイムを重ねることによって、コートに立つことに対する恐怖心や焦りがなくなりました。それがコートでの落ち着きになって、アタックできるような視野が広がったと思います」

ターニングポイントは天皇杯準決勝のサンロッカーズ渋谷戦だという。

クラブ史上初のベスト4入りだったが、この試合は立ち上がりで相手に主導権を奪われ、過密日程のリーグ戦も考えて主力は実質的に温存。大差をつけられた敗戦となったが「最後に強引に自分で仕掛けた時に『思ったよりできるんだな』と感じるところがあって、そこから変わったというのはあります」

「結果」を残し、さらに高みへ

さらに、伸び盛りの22歳にとって、ヘンリー・ウォーカー、ジェフ・エアーズ、クレイグ・ブラッキンズというNBA経験者と練習から合間見えることは「めちゃくちゃ大きい」と声を弾ませる。

「3人とも教えるのが好き。特にCB(ブラッキンズ)は試合中でもすごく話しかけてくれる。細かいスキルのこともだが、『もっと積極的にいけ。負けていないんだからと』とメンタル面での後押しがすごく大きいですね。あの3人に何かしら認めてもらっているというのが、自信になっています」と話す。

オリンピック代表入りにも直結する残りのシーズンに求めるものは、はっきりとわかりやすい「結果」だ。「プレータイムを求めて来たのが正しかったと感じています。チャンピオンシップだったり、ダブルダブルだったり、結果が出せることでさらに変われると思っている。一刻も早く達成したいのはダブルダブル。惜しいところまでは行っているので、早く達成したいですね」

さらりと高い目標を口にする22歳の秘める可能性は、やはり非凡だ。

シェーファーアヴィ幸樹

滋賀レイクスターズ

1998年1月28日生まれ、兵庫県出身の22歳。セント・メリーズ・インターナショナルスクールを卒業後に米国留学。プレップスクールのブリュースターアカデミーを経て、NCAAディビジョンⅠ所属のジョージア工科大学に入学したが、休学して帰国しアルバルク東京へ加入。今季から滋賀レイクスターズへ期限付き移籍した。昨夏のFIBAワールドカップ中国大会に日本代表として出場。身長205cm、体重106kg。

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