2019.10.18
[陸上競技・やり投げ]近江高校 木村玲奈
今夏のインターハイで涙の初優勝。ケガを”勝負強さ”で乗り越えた。
8月7日、南九州インターハイ女子やり投げ決勝での最後の投擲。近江高校の木村玲奈(3年)は「大丈夫」と自分に言い聞かせて臨んだ。その時点で順位は5位。昨年の近畿大会で故障した右肘はまだ少し痛みが残っていた。
「でも、昔から勝負強さみたいなものはあった。だから大丈夫だと気持ちを切り替えて投げた」
結果、52m 84で首位に立ち、そのまま優勝。同種目で滋賀県勢初の日本一という快挙を果たした。
振り返れば、木村の初優勝までの道程は、勝負強さの連続だった。ケガの右肘を考慮し、インターハイ予選の滋賀県春季総体も、近畿インターハイも「投げるのは1本だけ」と決めて挑んだ。そして県2位、近畿4位。予定通り、右肘への負担を最小限に抑えて全国大会の出場切符を手にした。
誤算は、インターハイ本番でも痛みが残っていた点だ。「同じ日に行われた予選では6位でギリギリ通過。しかも、最後の3本目の記録でやっと。決勝でも最後の6本目でやっとまともに投げることができた。子供の頃から勝負強いと言われてきたけれど、さすがに今回は奇跡かな(笑)」と話す。
普段、学校には槍を投げる場所が無く、代わりに1㎏のメディシンボールを投げてきた。恵まれた環境ではない中で黙々と練習を積み上げてきた木村に、神様がご褒美をくれたのかもしれない。
「ケガしてからは苦しかったです。だから優勝が決まった瞬間は感極まって…泣きました」
卒業後、大学で理学療法士を目指しながら競技を続ける木村にとって、ケガと戦い、頂点にたどり着いたこの夏の経験は、きっと宝物になるに違いない。
-
木村 玲奈
近江高校
Profile/きむら・れいな。2001年9月7日大津市生まれ、彦根市出身。志賀~金城小学校、彦根市立中央中学校を経て、近江高校へ。小学3年から中学1年まではスポーツ少年団や滋賀マイティーエンジェルスなどで野球を行う。ポジションはキャッチャー。地元では有名な強肩の持ち主だった。野球の体力作りの一環で中学1年から陸上競技をはじめた。やり投げは高校1年から。高校最後のインターハイで滋賀県勢初の優勝を果たした。159㎝。