2019.09.27

[パラ陸上競技]びわこ学院大学 村地志麻

世界パラ・ジュニアの経験を生かし、“滑り込み”で東京パラ出場を狙う。

「あれ? 100mと200mでのエントリー?」
びわこ学院大学の村地志麻(1年)は、不思議に思った。 世界パラ陸上競技ジュニア選手権の日本代表に選ばれたが、種目は得意の400mではなく100mと200mだったから。 「日本パラ陸上では400mで優勝し、それをきっかけに強化育成選手に選ばれた。 だから、世界パラ・ジュニアも400mだと思っていたら、なんと大会自体に400m種目がなかったんです(笑)」

それでも出場した100mと200mではともに自己ベストを更新。ただ、うれしさ半分、悔しさ半分だと村地は振り返る。
「出場した競技クラスT 37は、自分と同じ片麻痺の選手たちが走るクラスです。100mで自己ベストの13秒38を出したけれど、海外の選手たちは11秒台で走っていました。200mなら自分よりも3秒以上も速い23秒台。うわ〜世界は速いなぁと。すごく悔しかった。でも、世界を肌で感じられた経験は、きっとプラスになると思います」

村地は昔から運動能力が高かった。中学時代には脳性麻痺選手によるCPサッカーでU―19日本代表に選ばれ、世界大会にも出場している。高校から始めた陸上競技でもすぐに才能は開花し、高校2年時に出場した全国障害者スポーツ大会では200mで優勝。その後は、着実に背も伸び、現在は180㎝の長身に。「脚が長いねとよく言われる」(村地)。競技歴4年で伸びしろは充分と考えると、かなりポテンシャルを秘めた逸材と言っていいだろう。
「課題はスタート。足りないのは麻痺している右半身の強化です。目標は来年の東京パラリンピックに出場すること。そのためには”強化育成”選手ではなく、強化”指定”選手にならなくてはいけない。一つの基準は400mで59秒8というタイム。そこを目指します」

このタイムは村地の自己ベスト( 62秒14)よりも3秒以上も速い。だが、「スタートを磨けば不可能ではない」と言い切る。東京パラリンピックまでに対象となるレースは9月の記録会を含めて3大会。村地の挑戦はすでに始まっている。

村地 志麻

びわこ学院大学

Profile/むらち・もとま。2001年3月16日生まれ、竜王町出身。竜王小学校、竜王中学校、彦根総合高校を経て、今年4月にびわこ学院大学へ。生後10ヶ月で脳性麻痺と診断され、右半身が麻痺。竜王中3年時にはCPサッカーのU-19日本代表として世界大会(イギリス)に出場。高校から陸上競技をはじめ、2年時には全国障害者スポーツ大会男子200mで優勝。今年8月には世界パラ陸上競技ジュニア選手権(スイス)に出場。180㎝、59㎏。

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