2019.02.04

女性のスポーツインナー事情Ⅱ

「時系列データ」の蓄積、男子にも生きる 人間科学研究所
女性下着メーカーとして国内では最大手の地位を確立するワコールだが、同社が作るスポーツ用のインナー「CW-X」 を愛用するのは女性だけではない。 2017-18年シーズンからBリーグ・滋賀レイクスターズのオフィシャルアンダーウェアサプライヤーとなるなど、男性のトップアスリートからも一目置かれている。

「はくテーピング」 として関節への負担やスポーツ時の筋肉疲労を軽減するコンディショニングウェアでポジションを築いたCW-X。 それでも、同社の歴史の中で見ると、スポーツへの参入は比較的最近の部類に入る。ワコール

CW-Xが初めて開発されたのが1991年。 同社ウエルネス事業部の竹波祥代さんは 「スポーツタイツもスポーツブラジャーもそこまで必要だと思われていなかった時代だった」と背景を説明する。

「美」の追求がベース
CW-Xの開発にあたっては、それまで下着メーカーとして培ってきた美しい体の 「形」 を追求する研究も、大いに役立ったという。 同社の 「ワコール人間科学研究所」 では、1964年の設立以来、人の体の変化を追うために毎年1千人近くの4歳〜69歳の女性の人態計測を行っている。 のべ約4万人以上のデータがある。 その中には同じ人を毎年継続して計測を行ってきた例もあり、この人の体の変化を 「時系列」 で追ったデータの蓄積がスポーツへの参入でも強みとなった。

下着メーカーならではの強み
フィット感はもちろん、感覚的な快適・不快を左右する〝温かさ〞や〝涼しさ〞など 「感覚生理」 に繊細な点も、スポーツ時に切るインナーとしての評価を高める要因になっている。 日米のプロ野球で活躍しているイチロー選手もCW-Xを長く愛用しているため、男性の間でもその存在はよく知られることとなった。

今ではランナーたちの定番の一つとなっているCW-X。 女性下着だけでなく、コンディショニングウェアとして商品開発が行われてきたが、技術が進化して、着心地のよさはもちろん、軽量化なども進んできた。 「これから男女関係なく、いろんな人にスポーツインナーを着てもらいたい」 と竹波さん。 これからも同社の挑戦は続く。

関連記事