2019.01.10
身体を張るいぶし銀ビッグマン/#25 荒尾岳
売りは堅実なディフェンス
派手なダンクシュートで魅せるわけでもなく、豪快なブロックを決めてみせるわけでもない。スタッツには残りにくい部分できっちりと仕事を果たす、滋賀レイクスターズを縁の下で支える”いぶし銀”のビッグマン、それが荒尾岳だ。
「外国籍選手を試合中に休ませたり、ファウルトラブルになってしまうときは必ず来る。そういった場面でチームを助けられるよう、常にベンチで準備することを一番に心がけています」
荒尾の試合でのマッチアップは、相手チームの主力外国籍選手となることがほとんどだ。昨年12月の京都ハンナリーズ戦ではジュリアン・マブンガ、大阪エヴェッサ戦ではジョシュ・ハレルソンと、様々な特徴を持つビッグマンと、身体を張った“肉弾戦”を続けている。
B.LEAGUEでは今シーズン、外国籍選手が常時2人出場できるが、同じ試合に2人しか登録できない新ルールが採用された。すなわち、試合の中で外国籍選手をベンチに下げる場面では、日本人選手が代役を務めなければならない。レイクスでその仕事を引き受けるのが荒尾だ。
ローテーションに不可欠な男
屈強な国籍選手との相手を黙々とこなす荒尾がいなければ、今のレイクスはローテーションを回せない。31歳のビッグマンは、トヨタ自動車(現アルバルク東京)でJBL(日本バスケットボールリーグ)優勝を経験し、日本代表への招集経験も持つ。その後、千葉ジェッツへ移籍。昨年まで5シーズン所属し、2017、18年の全日本選手権(天皇杯)で連覇を果たしている。この経験値が荒尾の最大の武器ともいえる。
「自分の売りはディフェンス。試合にエナジーを持ってこれるようにやりたい。マッチアップする相手に、いかに簡単にプレーさせないか。少しでも嫌がられるように守ることを常に意識しています」
存在感が光ったのが10月の川崎ブレイブサンダース戦だ。最強の帰化選手、ニック・ファジーカスを擁する川崎に対し、レイクスはインサイドのガニ・ラワルが前日のゲームで負傷。移籍後初先発となった荒尾だが、ファジーカスや2人の国籍選手をディフェンスで苦しめ、オフェンスでもフィールドゴールを4/4本成功させるなど、クラブ史上初めて川崎を破る立役者になった。
今シーズン前半戦は勝ち星に恵まれない試合が続いたレイクスだが、12月に3人目の外国籍選手としてマーカス・ブレイクリーを補強。この影響を受けそうなのが荒尾だ。ブレイクリーのデビューとなった大阪戦は、荒尾がパワーフォワードとして先発。ブレイクリーとフォワードのコンビを組み、上々のコンビネーションをみせた。この“ビッグラインナップ”は熟成次第ではレイクスの新たな武器となる可能性がある。
「今のレイクスには、僕が千葉ジェッツに入ったころのような雰囲気を感じています。ジェッツも当時は今のような大きなクラブではなかった。レイクスもこの先、ジェッツのように飛躍できると思っています」。そのためには、荒尾のようなバイプレーヤーが不可欠だ。
PROFILE/あらお・がく
1987年1月15日生まれ、富山県出身。富山・泊高校、青山学院大学を経て、2009年にJBLのトヨタ自動車アルバルク(現アルバルク東京)へ加入。13年に千葉ジェッツへ移籍し、昨シーズンまで5シーズンを過ごした。今シーズンからレイクスへ。198cm、105kg