2019.01.09
“化学反応”を引き起こす男/#23 マーカス・ブレイクリー
「ケミストリー」に必要な触媒
バスケットボールでは「ケミストリー(化学反応)」という言葉がしばしば飛び交う。コート上の5人が一つの意思のもとに連携し、個の積み重ね以上の力が引き出される状態を指している。そして、滋賀レイクスターズにおいてケミストリーを引き起こす“触媒”となりうるのが、シーズン途中に加入したマーカス・ブレイクリーだ。
デビュー戦となった昨年12月29日の大阪エヴェッサ戦で21得点。東地区首位の千葉ジェッツと対戦した1月6日のホームゲームでは、2つのダンクシュートを含む22得点と、スコアリング能力の高さを披露。ただ、スタッツで光るのは得点だけではない。合流からまだ数回しか練習できていない状態でありながら、アシストは4試合で20個。スティールやブロックも平均的な数字以上のペースで稼いでおり、まさにオールラウンドな働きを見せた。
自分が入れば、チームは良くなる
「何か一つが飛びぬけているわけではない。いろんなことができる選手だと思っている」というのがブレイクリーの自己分析。自らの長所を聞くとこう返ってきた。「いいチームメートであることだね。自分が入ることで、チームのケミストリーは良くなる」。
仲間はすでに実感している。前半戦を想像以上の低迷に苦しんだチームには重苦しい空気が流れていたが、ショーン・デニスHCは「マーカスはとても陽気でポジティブ。彼が加入してくれたことで、自信を失いかけていた選手たちの間にも期待が持てる空気が生まれた」。主将の狩野祐介は「彼はまだ持っている能力は100%発揮していない。彼の良さを出しつつ、チームのプレースタイルもしっかりやっていきたい。だけど、マーカスは話していてもプレーを見ていても、それができる選手だと思う」と力を込める。
「みんなの関係性を強めることができると思っている。レイクスは若手選手とベテラン選手に偏りがあったけど、自分は若手とベテランの橋渡しができる存在になれると思っているよ」。単なる個のプラスアルファではない。ブレイクリーが混じることで、チームの歯車は回り出す。