2018.11.03
[レスリング・男子グレコローマン130㎏級]ALSOK 園田新
24年ぶりに日本人のアジア大会"銅"。その偉業が示す東京2020への可能性。
今年8月22日、インドネシアのジャカルタから朗報が届いた。 日野町出身の園田新(ALSOK)がレスリング男子グレコローマン130㎏級で銅メダルに輝いたのである。
グレコローマン最重量級で日本人がメダルを獲得したのは、1994年の広島大会以来24年ぶり。 3位決定戦では地元インドネシアの選手にフォール勝ちと実力差を見せつけた。 だが、園田は 「準決勝は前回王者のカザフスタンの選手だった。 でも、ここで負けているようではダメだと思います」 と振り返る。そこには東京オリンピックへの危機感があった。
東京への道のりは険しい。 今年12月の天皇杯、来年6月の全日本選抜で優勝して、まず9月の世界選手権に出ること。 ここで5位以内に入れば、東京オリンピック出場が内定する。 これが最短ルート。
だが、現実的に世界5位以内は難しいと園田は話す。 「もちろん、前回のリオ五輪に比べれば自分も成長している。 でも、五輪に出たこともない選手が、いきなり世界5位以内に入れるほどこの世界は甘くない。次のアジア予選での”1枠狙い”が勝負だと思う。 そういう意味でも、今回のアジア大会では最低でも決勝に残って経験値を上げておかないといけなかった」
10月17日に日本レスリング協会から発表された選手選考基準には、アジア予選で何位に入れば出場できるといった具体的な数字は記されていない。 あくまでリオ五輪で悔し涙を流した園田による予想だが、いずれにしてもそう簡単ではないということだ。
「アジア大会で決勝に残っていれば、東京五輪に出られる可能性は50%と言えた。けれど、準決勝で負けたことで確率は20%に落ちたと思っている。 でも、やるしかない。可能性がゼロではない限り、最後まで諦めずに…」
9月8日に母校・日野高校で行われた 「アジア大会銅メダル報告会およびレスリング教室」 に姿を見せた園田は、夢中でレスリングをする子供たちを見て、終始優しい笑顔を見せた。 まるで、自らの少年時代を思い返すように。
「子供の頃や学生時代とは違って、今は会社から結果を残し続けることを求められている。 そのプレッシャーは別次元です。 やり続けないと生きる道はなくなる。 それが自分の仕事だと思っている」
日野で原点を思い出した園田が、いよいよ東京へスパートをかける。
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園田 新
ALSOK
Profile/そのだ・あらた。1994年7月5日生まれ、日野町出身。日野高校、拓殖大学を経て、名門ALSOKへ。高校時代はインターハイや国体など高校4冠を達成。大学時代は2013年に1年生ながら全日本学生選手権で優勝。2014年には全日本選抜選手権を制して初の世界選手権へ。今年8月のアジア大会ではグレコローマン最重量級で24年ぶりの日本人メダリストに。2020年の東京オリンピック出場が期待されている。