2023.09.01

創部70周年。再び〝王座〟へ。立命館大学パンサーズ

94年から滋賀が拠点に

日本の大学アメリカンフットボール界は「西高東低」と言われて久しい。
大学王座を決める「甲子園ボウル」の優勝回数を見ても、昨年の第77回大会を制した関西学院大学が33回とずば抜けている。2位は日本大学の13回と関東勢に譲っているものの、3位は立命館大学の8回、4位は京都大学の6回で、関西勢が上位に入っている。
この状況を作り出したのは関西学院大学と京都大学であり、90年代にその2強時代を崩した立命館大学である。むしろ立命館大学の台頭がなければ、「西高東低」という構図は生まれなかったと言える。

 その立命館大学パンサーズが今年、創部70周年を迎えている。1953年に関西で5番目に産声をあげたアメリカンフットボール部は、83年から本腰を入れて強化が始まり、94年には初めて甲子園ボウル制覇を達成する。

この歴史的な94年にパンサーズは拠点を今の「びわこ・くさつキャンパス(BKC)」へ移している。そして現在チームを率いているのが、94年の初優勝メンバーである藤田直孝監督。
栄光の軌跡をたどると滋賀へ行き着くから興味深い。藤田監督は移転当時を懐かしむ。

「BKCができた94年にパンサーズも移転しました。手狭だった衣笠キャンパスの頃は100人以上の部員がみんなで一緒に練習することはできませんでしたが、BKCはキャンパスの広さに比べて学生数も少なく、フィールドはほぼほぼパンサーズが使える状況でした。当時は南草津駅もなかったですし、京都から通うのもひと苦労でした。でも、フィールドだけではなく、動時間も含めてみんなで一緒に過ごす時間が増えたことで絆が強まったと思います。もちろん、移転だけが甲子園ボウル制覇の理由ではないですけど、やっぱりBKCの存在は大きかったですね」

BKCで育まれた新たな文化

 滋賀に移転したパンサーズの活動はチーム強化だけに止まらず。選手たちが小学校の体育の授業でフラッグフットボールを教えたり、BKCグリーンフィールドという恵まれた環境を使ってびわこジュニアパンサーズ(現ジュニアパンサーズ)を立ち上げたりと地域と深く関わっていく。
そういった〝種まき活動〞は徐々に成果を上げ、滋賀における競技普及だけではなく、有望選手が輩出することで自分たちのチーム強化にもつながっている。

 パンサーズのエースWR大野光貴(3年)もその一人だ。

立命館守山高校1年時に最年少でU│ 18日本代表に選ばれ、高校2年時には日本が史上初めて母国アメリカ(U│ 17代表)を撃破した試合で活躍。そんな逸材がアメフトに出会ったのは滋賀だった。

「4歳から大阪でラグビーをしていました。でも、立命館守山中学でアメフトに出会った。顧問の先生も熱心な方が多くて、すぐにアメフトが好きになりました。好きになり過ぎて、中学3年の時に一人でフロリダに2週間ほど武者修行に行ったくらいです。
高校1年でU│ 18日本代表に選ばれたのもフロリダの経験が大きかったと思います。現地ではアメリカの選手から自己アピールの大切さを学びました。そして本場アメリカとの差を肌で感じ、帰国後は練習のレベルを上げました。関西学院戦などのビッグゲームでは〝オレがやる!〞っていうメンタルに持っていけるのもフロリダの経験が大きいです。滋賀でアメフトに出会ったこととフロリダは自分のターニングポイントです」

パック オブ パンサーズ

 U│ 18日本代表が〝アメリカ〞を下した時の主将を務めたのが、現パンサーズのキャプテン山下 優(4年)である。

立命館宇治高校(京都)の出身だが、彼のルーツは滋賀にある。

「アメフトをはじめたのは〝びわこジュニアパンサーズ〞です。中学1〜3年までBKCに通っていましたし、グリーンフィールドにはいい思い出が詰まっています。大学でまたBKCに戻ってこられたことは自分の誇りです」

 だが、苦い記憶もある。チームとして2015年以来の甲子園ボウル出場を目前にしながら、昨年も関西学院の壁を越えることができなかった。悔しさを知る山下は創部70周年のメモリアルイヤーでの王座奪還を狙っている。

「この70年の間に、先輩方が築いてこられた歴史には重みがありますし、敬意しかありません。
でも、向き合うのは70年の歴史ではなく、目の前の相手です。1戦1戦、全力を尽くすだけです。そのために必要なことは選手たちが一つになること。今年のスローガン『パック オブ パンサーズ(1つのヒョウの群れになる)』にはその思いが込められています。先輩・後輩に関係なく誰もが意見を言い合える、そんな絆を築き上げることをめざしています」

 再び王座へ。彼らの戦いは9月3日の関西学生アメリカンフットボールリーグ Div1の秋季リーグvs.神戸大学から始まる。そして10月1日には平和堂HATOスタジアムで初の凱旋試合(vs.龍谷大学)も控えている。

滋賀にゆかりの深いパンサーズに熱いエールを送りたい。

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