2018.06.02

【SKETCH of 中学スポーツ】中学スポーツの現在地③

中学バスケ界が変わる

5月19日、滋賀県の春季総体が閉幕した。 男子は老上中学が51-49で堅田中学に競り勝って初優勝。 女子は近江兄弟社中学が57-52で甲賀中学(21ページ関連記事)を退け、2年連続2回目の女王の座に就いた。 どちらもハイレベルな好ゲームだった。

ただ、3日間で6試合という過密日程の中で、選手たちにやや疲れも見られた。 死力を尽くした準決勝後の3位決定戦と決勝戦では、両膝に手をついて息を切らす選手も見られた。

9月以降は、部活とクラブチームが一緒のステージで戦う新しいリーグ戦も始まる。 どこが参加するかはひとまず置いておき、中体連の大会と新リーグを掛け持ちする部活の選手にとっては今まで以上にハードな日程になる。 週休2日へ移行された中で、日本の中学バスケ界は世間の流れから逆行しているとも言える。

もちろん、新リーグの誕生は悪い面だけではない。 むしろ、日本全体の競技力向上という面ではプラスである。 特に3年生にとっては大きい。

新リーグ立ち上げに関わってきた滋賀県のU-15部会長・大音健司氏は話す。
「今まで3年生は夏で引退し、高校1年まで試合から遠ざかっていた。 受験に専念する点ではいいですが、高校でもバスケを続けようという選手にとっては半年以上のブランクが生じる。 どうしても技術・体力ともに落ちる。 でも、新リーグではクラブチームに入れば3年生も参加できる。 部活引退後に真剣勝負ができる環境があるのは、意欲のある選手たちにとっては大きなメリットになると思います」

新リーグは9月スタート予定。 夏の全中後という絶妙のタイミングだ。

新リーグ参加チーム募集中

構想段階だが、滋賀の新リーグは5〜8月の前期、9〜10月の後期に分けて行う予定。 選手登録はサッカーのように中体連とクラブチームのどちらか1つではなく、中学校で登録し町クラブで活動、町クラブで登録し部活にも所属など8つのパターンが用意されている。 この中には滋賀レイクスターズユースチーム(Bユース)の登録事例も含まれている。 詳しくは滋賀県バスケットボール協会HPを参照してほしいが、新リーグに関して言えば、中学、町クラブ、Bユースのどこかに登録していればOKと門戸は広い。

新リーグの理想は 「男女各30チームくらいでスタートしたい」 と大音氏は言う。 ゆくゆくは各地区のリーグがあり、その上にトップリーグがあるようなピラミッド型にしたいとも話す。 入れ替え戦も実施し、リーグ全体のレベル向上も促したい考えだ。

また2020年には高校ウィンターカップの中学生版と言える 「ジュニアウィンターカップ(JWC)」 も始まる予定。 この新リーグをJWC滋賀代表の決定大会に位置付けたいなど、様々な構想が持ち上がっている。

どういう形に落ち着くかは、まだ先の話になりそうだが、県の春季総体に参加した部活は男女計157チームもある。ここに町クラブとレイクスユースチームを合わせれば160以上。 これだけのチームが滋賀県にはある。

近年、滋賀選抜チームが全国大会で好成績を残していることを考えると、この大所帯をうまく整備すれば滋賀のレベルはさらに上がるはずだ。

その架け橋となり得るのが新リーグ。参加の応募締め切りは6月末まで。 みんなで魅力的なリーグを作り上げたい。

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