2021.06.10
昨夏の〝県選〞で自己ベスト更新。 6月の日本選手権で逆転五輪も 瀬古優斗
昨夏の〝県選〞で自己ベスト更新。 6月の日本選手権で逆転五輪も。
瀬古優斗 [陸上競技 走高跳]
筋肉をうまく使うために
滋賀レイクスターズに所属したものの、コロナ禍で早々に2ヶ月間自宅待機となった昨春。この期間を利用して、走高跳の瀬古優斗は「筋発掘能力の向上」にフォーカスしたという。筋肉の潜在能力を引き出す努力を重ねたそうだ。「表現が難しいのですが、例えば自分の筋肉が持っている力を100だとすると、実際に使えているのは20くらいだと言われています。それを30とか、50に引き上げられるように神経系を研ぎ澄ませてきました。筋肉量を増やしても、能力を引き出せなければ無駄な努力になりますから」ウェイトトレも行うが、筋肥大が目的ではなく、あくまで筋力維持の補強程度。
それよりも、今ある筋肉を使いこなせる脳や神経系を鍛えることに注力した。結果的にスクワットのMAX重量が格段に向上したという「大学の頃はギリギリ300kgでしたけど、社会人になってMAX340 kgに。まだ余裕もあります」レイクス同期入社の西村顕志は「300でもバケモンなのに...。もっと重りを積めるジムだったら340以上も挙げられるはず」と証言する。
もちろん、大学1年からの取り組みが成果に現れてきているのだが、 集中的に神経系を磨けたのは「コロナ自粛のおかげ」だと瀬古は話す。
2m33を意識に入れて
実際にどうやって筋発掘能力を高めたかは気になるが、「論文レベル(瀬古)」の説明になるため、今回はスルーしたい。で、ここからは神経系を鍛えた成果について。コロナ自粛後、瀬古は昨年8月の滋賀県選手権に出場した。そこで、自己ベストを更新(2m21)。しかも、余力を残している状態だった。「感触として2m25は跳べるなと思いました。あの時よりも今は助走スピードも上がっていますし、昨年はパリ(五輪)を狙うと言っていましたけど、東京(五輪)もワンチャンあるかなと...」
昨年の日本選手権の優勝記録は2m30。おそらく東京オリンピック代表選考もこのあたりがボーダーラインになると思われる。優勝したら五輪確定を考えれば「ワンチャン」は 十分にありえそうだ。「昨年の優勝者が跳べなかった2m33を頭に入れながら、6月の日本選手権まで練習に取り組みます。一発あるのが陸上競技の醍醐味ですし、狙っていきますよ!」
日本選手権の舞台は大阪・長居。2012年に棒高跳の我孫子智美が ロンドン五輪を決めた場所だ。レイクスの跳躍選手にとって縁起のいいスタジアムで、今度は瀬古がハイジャンプをみせる。