2018.08.04
【SKETCH of 大学スポーツ特集Ⅰ】To be contined~飛躍はつづく~⑤
”鬼の夏合宿”が飛躍のカギ。
滋賀から羽ばたく長距離ランナー。
ケガを克服し、強くなった
今年4月の 「第95回関西学生陸上競技対校選手権大会」 男子1部ハーフマラソンで優勝した上坂優太(4年)は、関西学生のトップランナーだ。 比叡山高校から陸上競技を始めたことを考えると急成長と言っていいだろう。 そのきっかけになったのは、大学2年の全日本大学駅伝だった。
「5㎞過ぎに左足に違和感を覚えた。力が入らなくなり、痛みに耐えられなくなった。 疲労骨折していました」
リハビリ期間は3ヶ月。 門を叩いたのは、フィギュアスケート高橋大輔や女子マラソン福士加代子らを蘇らせた理学療法士の吉田昌平氏。 厳しいことで知られる人物だった。
「吉田先生が厳しくて、高橋選手が逃げ出したという噂もあった。 正直、怖かった。そして実際、厳しかったです(笑)。 メニューはリハビリというより、ほぼ筋トレ。 ただ、自分が負った左大腿骨骨折は足裏の接地面や骨盤などに問題があると言われ、リハビリ中に矯正しました。 結果的に、この3ヶ月のおかげでケガしにくい体になった。 大きな転機でした」
ケガ前は体が悲鳴を上げていた京都産業大学名物の”鬼の夏合宿”も 「リハビリで脚が出来上がった」 おかげで乗り切れるようになったという。 だが、今夏は「乗り切れるかなぁ」 と不安な表情を浮かべた。 合宿期間が延びるからだ。
例年、脚力強化を狙う兵庫・鉢伏高原と北海道の合宿は、合わせて2週間行われる。ここまでは例年通り。 だが、今年は群馬・万座高原での高地合宿が約2倍になる。
「万座は標高が高く、常に低酸素トレをしている感じで息苦しい。 1週間でも厳しいのに、2週間って…考えただけでゾッとします(笑)」
その鬼の合宿を終えたら、いよいよ駅伝シーズンに入る。 上坂は 「出雲と全日本はチームとして関西勢1位を目指します。 続く丹後と京都は区間賞を狙うつもり。 ま〜夏合宿を乗り切れていたら…の話ですけれど(笑)」。
厳しい夏を乗り越えた先に、秋の大収穫がある。 上坂にとって、実り多き季節になることを願う。
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上坂 優太
京都産業大学陸上競技部
Profile/こうさか・ゆうた。1996年10月8日生まれ、大津市出身。仰木小学校、仰木中学校、比叡山高校を経て京都産業大学へ。中学まではサッカー部。高校時代は5000mで近畿インターハイ出場など。大学では昨年の第29回全日本びわ湖クロスカントリー優勝や今年の関西学生対抗男子1部ハーフマラソン優勝(1時間6分17秒)ほか。昨年は、全日本大学駅伝に出場し、続く丹後大学駅伝では区間2位、京都大学駅伝では区間1位なども経験。