2025.08.21
綾羽が激闘を制し初の甲子園へ。
第107回全国高等学校野球選手権滋賀大会〈決勝〉
綾羽 6-3 滋賀学園
7月26日にマイネットスタジアム皇子山で行われた「第107回全国高校野球選手権滋賀大会」決勝戦は、綾羽高校が滋賀学園高校を6-3で破り、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。
昨年と同じ顔合わせとなった決勝戦。前評判では滋賀学園がやや優勢と見られていた。昨春から4大会連続で県大会を制していた滋賀学園に対し、綾羽は過去4度の決勝戦をすべて落としていたからだ。だが、勢いでは綾羽の方が上だったかもしれない。準決勝の近江戦では9回に逆転し、劇的な勝利を収めていたからである。
それを象徴するように、綾羽は1回表に2点を先取されるも、その裏の攻撃で3点を奪い返す。この回に同点タイムリーを放った4番・山本迅一郎(3年)はこの時の心情をこう話している。
「1回表に2点を奪われたけれど、チーム内は絶対に返せるといったムードだった。準決勝で近江に逆転勝ちできたことで、そういう雰囲気になっていたのかもしれません」
きっちりと逆転に成功した綾羽は2回裏にも主将・北川陽聖(3年)のタイムリーで2点を追加し、5-2と突き放す。昨年の決勝にも出場していた北川にとっては雪辱を晴らす一発だった。
「昨年も絶対に甲子園に行くという気持ちで戦っていたけれど負けてしまった。そこから今年のチームは始まっています。今の強みは全員で意見を言い合えるところです。最初は〝自分は試合に出ていないから〞みたいな感じで意見を言わない選手もいたんですけど、今は試合に出ていなくても気がついたことをみんなが意見できる。そういうチームだから2点先取を跳ね返せたと思う」
5回にも1点を追加した綾羽はリードを4点に広げて最終回を迎える。初の甲子園まで残りアウト3つ。7回途中までマウンドを守ったエース藤田陸空(3年)から、好リリーフを見せた市場仙人(2年)、8回表をしっかり押さえた米田良生有(2年)を経て、9回から川北 涼(2年)がマウンドに立った。
だが、あと3つで甲子園という重圧からか先頭打者をストレートのフォアボールで出塁させてしまう。次の打者は打ち取ったものの、その次の打者はデッドボール。1アウト1、2塁となり、ピッチャーを川北から安井悠人(3年)に交代した。それでも、続く打者に内野安打を打たれて満塁に。ホームランを打たれれば一気に同点にされるというピンチとなった。次の打者をセカンドゴロで打ち取ったものの、その間に1人に生還されて6-3に。あと1つなおも2、3塁というピンチだったが、最後はしっかりとセンターフライに打ち取ってゲームセットとなった。
試合後、千代純平監督は噛み締めるように初の甲子園出場までの道のりを振り返った。
「うちは通学生ばかりで、滋賀県の高校野球に新しい風を吹かせたいという気持ちで来てくれた選手が多いです。今の選手もそうですし、卒業生もそうです。最初は〝甲子園に出る〞を目的にしていたんですけれど、2021年に春の大会で優勝して、その時の選手たちが目標を〝甲子園で勝つ〞に上げたいと言いました。その年の夏は負けましたが、そこから綾羽は甲子園で勝つことを目標にしています。ですので、皇子山の次は甲子園で勝ちたいと思います」
夏の甲子園は8月5日に開幕する。次は甲子園で〝綾羽旋風〞を巻き起こす。