2019.02.12

RUN&RIDE~もっと速く~ 小澤直人

大学最後の箱根駅伝で自分らしい走り
 2019年1月2日・3日。往路・復路で競われた箱根駅伝は、東海大学の総合優勝で幕を閉じた。 東海大学は46度目の出場で初の栄冠。 テレビ中継では、優勝候補の青山学院大学が2位で終わったことを騒ぎ立てていた。

 そんなドラマから約15分後、名門・早稲田大学と中央大学がデッドヒートを繰り広げていた。 アンカーを任されていたのは早稲田大学4年の小澤直人(草津東高校卒)と中央大学2年の川崎新太郎(水口東高校卒)。 滋賀県出身の2人だった。

 両校ともすでにシード権(10位以内)を逃していたが、同郷ランナーとして勝負に負けるわけにはいかない。 特にケガに泣かされ続けた早稲田の小澤にとっては、最初で最後の箱根路。 高校の同級生たちが応援に駆けつけるなか、ドラフティング(他選手を使った風除け)などの駆け引きをせず、自分の走りに徹した。

 応援に駆けつけた高校の同級生・棚池穂乃香(京都産業大学)は、レース前に小澤にこう伝えたと言う。 「私は(12月の富士山駅伝で)9人抜きした。 次はあなたの番。10人抜き、期待してるよ!」

 タスキを受けた状況から考えて10人抜きは難しかった。 だが、それでも逃げずに走れたのは、同級生の応援が後押ししたのかもしれない。 「滋賀出身の川崎選手と同じ区間で、しかも並走するのは何か運命的なものを感じました。 でも、レース中は前の拓殖大や中央学院大を追って走っていたので、川崎選手と勝負している意識はなかった。一緒にシード権が取れたら最高だなとは思っていました。 でも、結局はシード権が取れず、申し訳なさと情けなさでレース後に涙が出てしまった。高校の同級生の活躍は嬉しくていつも結果を見るたびに〝自分も頑張らないと〞と刺激をもらっていました。 高校3年間苦楽を共にしてきた仲間だったので、応援に来てくれてすごく嬉しかったです」

 息子の走りを見つめた父・信一(草津東高校陸上競技部監督)は 「積極的に自分でレースを引っ張ったと思う。 最後は中央大学の川崎選手に抜かれてしまったけれど、私は直人の走りを誇りに思います」 と讃えた。

小澤 直人

早稲田大学

Profile/おざわ・なおと。1997年3月29日生まれ、甲賀市出身。水口中学、草津東高校を経て、早稲田大学へ。現在4回生。高校1年時には岐阜国体3000m少年男子Bで初優勝など早くから注目を集めた。だが、早稲田大学では相次ぐケガに苦しみ、ようやく調子を戻してきたのは4回生になってから。出雲駅伝、全日本大学駅伝に出場し、今年1月には念願の箱根駅伝に初出場を果たした。

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