2024.11.01
全中で800m県中学新を樹立 日本記録ホルダーの県中学記録塗り替える
短距離並みのスピード
ことし男子800mの日本選手権覇者となった落合晃(滋賀学園高3年)が7月のインターハイで日本記録(1分44秒80)を樹立したのは記憶に新しいが、その落合が今津中3年のときに更新した滋賀県中学記録(1分56秒87)を3年ぶりに塗り替えたのが石原向規(市立守山中3年)だ。
今夏の全日本中学校陸上競技選手権大会(全中陸上)男子800m予選で県中学新となる1分55秒85をマークし、同決勝で2位に入った。
8月17日、福井県営陸上競技場(9・98スタジアム)。直前の雨で猛暑が収まり、絶好のタイミングで行われた男子800m予選。100m を11秒台半ばで走る短距離選手並みのスピードが持ち味だけあって、600m付近でトップに立ったかと思うとぐんぐん後続を突き放し、県中学新で余裕の組1位通過。
「1周目が遅れてベストな走りではなかったので、新記録が出たのは意外だった。でも昨年からずっと狙っていたし、目標とする落合さんの記録を更新できてすごくうれしい」と笑顔で振り返った。
道のりは順風満帆ではなかった。陸上を始めた当初はレースに勝てず、何度も悔し涙を流してきた。「負けず嫌いな性格。だから絶対1位になりたい」。勝利を渇望し、市立守山中で地道に練習を積んだ。特に効果があったのは、1日にジャンプ系500回、腹筋・背筋計350回などをこなすサーキットトレーニング。
「伝統のウォーミングアップは本練習よりハード。日々の継続がストライドの広い安定感あるフォームにつながった。絶えず目の前の目標に向かって努力できたのも大きい」と小林徹郎顧問。2年生になると、上級生を抑えてレースで勝てるまでに成長した。
大けがを乗り越えて
満を持して迎えたラストシーズン。もっと早くに県中学新を出したかったが、5月の県中学校春季総体で計算が狂った。専門外の4×100mリレーを走った際に右足付け根を剥離骨折し、全治3カ月の診断。「大泣きするしかなくて、いったんは夏をあきらめた」というが、持ち前の負けん気は逆境でこそ生きる。せめて上半身を鍛えようと鉄棒にぶら下がり、小魚や牛乳などカルシウムの多い食事を心がけた効果あってか目覚ましい回復力で1カ月以上早く完治し、全中陸上の参加をかけた7月の全日本中学校通信陸上滋賀大会で標準記録(2分0秒50)を見事突破。
ただ周囲も最後の夏だけに気迫でタイムを縮めてきて、珍しく1着でのゴールはかなわなかった。結果的に男子800mは5人が全国へ。「オール滋賀(県中体連の強化練習会)」で切磋琢磨してきた同級生からの刺激も力に、翌月の全中陸上での躍進につなげた。
「全中はうれしくて悔しい大会だった。県中学新はよかったけど、やっぱり全国で1番になりたいから10月の全国大会(JOCジュニアオリンピックカップ、18〜20日)でリベンジしたい。将来のことはまだあまりイメージできていないけど、箱根駅伝で区間賞を出したいです」。活気づく湖国の陸上競技界に、注目選手がまた増えた。
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石原 向規
市立守山中学校
いしはらこうき。2009年11月2日生まれ、守山市出身。吉身小学校4年のとき、母に勧められ守山陸上教室で競技を始める。市立守山中2年で全中陸上の男子800mに出場し、今年1月の全国都道府県対抗男子駅伝では滋賀県代表として6区を走った。自己ベストは800m1分55秒85、1500m4分1秒87、3000m8分54秒27。171cm、53㎏。