2023.05.01

初出場のセンバツは 嬉しさと、悔しさと【彦根総合高校 硬式野球部】

もう一度、甲子園へ

WBCで侍ジャパンが14年ぶりの世界王者に輝いた3月22日。
彦根総合高校硬式野球部はセンバツの初戦(2回戦)を戦っていた。

初甲子園の相手は山口県の光高校。彦根総合は右腕・勝田新一朗(3年)の好投もあって7回まで0│0の投手戦を続けていた。だが、2番手で登板したエースの左腕・野下陽祐(3年)が8回に捕まって先制点を許すと、9回には失策も絡んでさらに失点。最終0│2で夢にまで見た晴れ舞台を去ることになった。

4日後、本誌の取材に対応したキャプテン上田大地(3年)は「ただただ悔しい」と表情を曇らせた。
「自分たちの力を出せず、野球を楽しむこともできなかった。
甲子園の悔しさは甲子園でしか晴らせない。夏にもう一度、そこに戻りたい」

だが、上田以上に悔しい想いをしたのはエースの野下だ。
難病を患う母・順子さんが車椅子で甲子園まで駆けつけた中、好投を見せられなかった。
「負けたのは自分のせいだと思っています。緊張もあってストレートが浮いてしまった。
甲子園での課題を夏の滋賀県大会までに克服したい」

練習で泣き、試合で笑う

「口だけの反省では甲子園には戻れない」。

北大津の監督時代を含めて7度の甲子園を経験する宮崎裕也監督は、あえて厳しい言葉を選手たちにかけた。
「自分たちで自分たちを律して練習に臨めるようにならないと。
選手たちには、練習と試合は逆だとよく言います。泣くほど練習すれば試合では笑えるし、
やらなければ試合で泣くことになる。夏に笑えるかどうかは、自分にウソのない練習をどれだけ積み上げられるかにかかっていると思います」

 思い返せば、昨夏の滋賀県大会でシード校ながら初戦(2回戦)で伊香高校に敗れ、泣くほど練習して秋の県大会で初優勝を飾った。今度はセンバツの悔しさを夏の原動力へと変える番だ。

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