2022.04.07

2年生の途中に主将へ立候補! めざすは“駅伝女王”の復権 飛田凜香 立命館大学[陸上競技/長距離]

4月から最終学年となる湖国ゆかりの大学アスリートたちに、この1年にかける想いを聞いた。また4月から大学生になる注目の滋賀出身選手も紹介。2022年を熱くさせるのは果たして誰だ。

区間記録に並ぶも笑顔なし。理由は「やるなら立命館で」。

昨年12月30日の「2021全日本大学女子選抜駅伝競走(富士山女子駅伝)」で立命館大学は4位に入った。6区を走ったキャプテン飛田凜香(3年)は区間記録に並ぶ好走で区間賞に輝いた。それでもレース後の彼女に笑顔はなかった。目標はあくまで大学日本一だったからである。

「実は高校までで競技をやめようかとも思っていました。でも、大学日本一をめざせる立命館大学に入れるなら、競技を続けようと。〝ダメもと〞で高校の先生から十倉(みゆき)コーチに話をしてもらい、実際に私の走りを見てもらって入学することができました。だから、大学日本一じゃないと喜べないんです」

覚悟。そう表現していいほどの強い気持ちで飛田は立命館大学に進学した。めざすのは、高校2年の頃に憧れを抱いた、あの強い立命館大学だ。「私が高校2年の頃(2017年)、立命館大学は〝富士山〞で5連覇を達成しました。そのレースをテレビで見て、うわぁカッコいいなぁと。私もあんな風になりたいと思いましたし、ああいう強いチームをめざしています」

「自分が変えないと」。その想いでキャプテンに。

立命館で日本一。その想いが一つのカタチとなって現れたのは大学2年生の秋だった。9月の関西大学女子駅伝で1区区間賞の走りを見せた飛田だったが、立命館大学自体は3位で終わってしまった。

「優勝をめざしていた中で3位。〝悔しい〞を通り越してショックでした。それでも、今までの自分なら〝先輩の誰かがやってくれるだろう〞と他人任せだったかもしれません。でも、あの時は〝自分が変えないと〞という思いが湧き上がってきました。その勢いを借りてキャプテンに立候補しました」

2年生で主将、しかも立候補での就任は稀なケースらしい。さらに飛田にとっては「人生初のキャプテン」だという。相当な覚悟をもった立候補だったことは容易に想像できるだろう。

今が一番、陸上競技が楽しい。自分の可能性を追求したい。

地元の甲賀ジュニアアスリートクラブで陸上競技を始めた飛田は、水口中学2年の時に滋賀県中学駅伝で優勝を経験。翌年も県を制して、全国中学駅伝に出場している。水口中学はこの2連覇を含め、県6連覇という大記録を打ち立てる。飛田は歴史の〝始まり〞を作ったメンバーの1人である。

比叡山高校では全国高校駅伝に3回出場している。個人でも1500m(高2)と3000m(高3)でインターハイに出場している。高校3年の国体では3000mで8位入賞も果たした。数々の好成績を残し、うれしい体験も重ねてきた飛田だが、意外にも「今が一番、陸上競技が楽しいですね」と笑顔を見せた。

「もちろん、今までも楽しかったんですけど、学生主体の立命館大学では自分で考えて、効果的な走り方を見つけるなどの発見があって楽しいんです。自分の可能性はどこまで広がっていくんだろうという好奇心も湧いてきました。それで結果も出ている。今までの陸上人生とは楽しさの種類が違う感じです。大学最後の今年も、自分の可能性を追求していきたいです」

今年の個人目標は5000mと1万mで全日本インカレを優勝すること。その先にはワールドユニバーシティゲームズに出場し、メダル獲得を見据えている。だが、最大の目標は入学当初から変わらず〝駅伝女王〞の復権だ。中学時代に歴史の始まりを作った飛田が、再び〝黄金期〞の礎を築く。

飛田凜香

立命館大学

ひだ・りんか。2001年1月11日生まれ、甲賀市出身。貴生川小学校、水口中学校、比叡山高校を経て、立命館大学へ。中学時代は2、3年の時に滋賀県中学駅伝競走大会で優勝し、全国大会へ。比叡山高校では1年から駅伝メンバーに選ばれ、全国高校駅伝に3度出場した。強豪・立命館大学では2年生途中からキャプテンを務めている。大学2年生の全日本大学女子駅伝で1区区間賞。同年の全日本大学選抜駅伝(富士山女子駅伝)では2区2位。大学3年生の全日本インカレでは1万メートル2位に。全日本駅伝3区2位、富士山6区区間賞など好成績を残している。

関連記事