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2022.01.08

ある伴走者の言葉が支えに 初パラリンピック5位入賞 【ブライドマラソン】藤井由美子

代表決定にびっくりした

東京2020パラリンピックのブラインドマラソン(視覚障がい者マラソン)で、甲賀市在住の藤井由美子(びわこタイマーズ)が5位に入った。

レース前半約20㎞は最後尾を走っていた藤井は、終盤に向けて徐々に順位を上げていった。30㎞付近では「ガイドランナー(伴走者)が大丈夫まだいけますよ、あと10㎞ですよとか言って私の気分を乗せてくれました」と振り返る。そして、ひと呼吸を置いた後に「ガイドの山領(駿)さんを信じたおかげ」と続けた。この〝ひと呼吸〞の中に、実は藤井の初パラリンピックのドラマは詰まっていた。

昨年(2020)2月の選考会を終えた時点で、東京2020パラリンピック代表3名に藤井の名前はなかった。だが、のちに大会の1年延期が決まり、日本ブラインドマラソン協会は不測の事態などに備えて新たに補欠選手を選考することに決めた。いわゆる第四代表。2020年12月の防府読売マラソンがその代表選考会となった。

このレースで藤井は世界ランキング4位となる3時間9分48秒の自己ベストをマークする。そして2021年6月に第三代表となり、初のパラリンピック出場が決まった。知らせを受けた藤井は「びっくりしました。私でいいの? 信じられなかった」そうだ。

信じないと不安がられる

その吉報から数週間後、協会から伴走者2人のうち、1人を女性ガイドランナーがいいだろうと連絡が入った。同性を1人入れる方が何かと都合がいいとの判断だった。仕方なく、ガイドの上島学氏に身をひいてもらうことになった。しばらくして再び協会から連絡があった。今度は「実業団経験者をガイドに入れた方がいい」という申し入れ。結局、もう一人のガイド武田浩志氏にも辞退してもらい、大舞台を走ることになった。

「気心の知れた2人と走れないことに不安があった。どうしようと。ガイドの武田さんに相談しました。すると、武田さんは〝あなたが信じないとガイドは不安になる。だから、新しいガイドを信用しなさい〞と言われました」

ガイドランナーにとってもパラリンピックは晴れの舞台である。それを直前で断念するのは悔しかったはずだ。だが、武田氏は自分の気持ちを内に秘め、藤井にアドバイスした。〝心の伴走〞を続けたのかもしれない。

そうして迎えた晴れ舞台。藤井は新しいガイドランナー2人を信じて走り切った。5位入賞には、藤井を支える人たち〝全て〞の思いが詰まっていた。

藤井由美子

びわこタイマーズ

ふじい・ゆみこ。1964年9月21日生まれ、豊郷町出身。甲賀市在住。2016年の防府読売マラソン優勝をはじめ、ロンドンマラソン3位など国内外で活躍。2020年12月の第51回防府読売マラソンでは3時間9分48秒の自己ベストを更新。東京2020パラリンピックでは5位入賞。

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