2021.11.12

県記録をマークし、全国でも存在感 風のように駆け抜け、五輪を目指す 薬師寺愛葉

6月に12秒台を記録

全国から小学生陸上選手(5、6年生)の精鋭が集まる「全国小学生陸上競技交流大会(日清食品カップ)」が9月に神奈川県で2年ぶりに開かれ、6年女子100mで薬師寺愛葉(瀬田小学校6年/草津JAC)が3位入賞を果たした。

6月の滋賀県予選で県記録(小学生女子)を0秒36更新する12秒87をマークした逸材。「できれば全国の舞台で優勝したかったけど、大舞台を楽しむことができた。ライバルの走りは尊敬するほど素晴らしかった」と悔しさの中にも充実感を漂わせた。

小学4年生から小学生の陸上教室「草津ジュニアアスリートクラブ(JAC)」に入会し、立命館大びわこくさつキャンパスで月2、3回、もも上げやスキップなどの基礎練習を繰り返す。

「特に筋力が秀でているわけではないが、力まずに無駄なく、風のように走れる。レースで自分の全力を出し切れるところも強み」と北村正昭代表が言うように、入会からわずか2カ月後には2019年日清食品カップの予選を兼ねた滋賀大会の4年100mをいきなり大会記録( 14秒63)で制した。

早朝やコロナ禍の自粛期間は、高校・社会人ラグビーで日本一の経験を持つ父や学生時代に棒高跳びで日本記録タイをマークした母と、自宅近くで坂ダッシュなどの自主練習にも取り組み着実に成長。絶好調で迎えた今年6月の同カップ滋賀大会で、他の追随を許さない圧倒的な強さで県新記録をマークした。

全中、五輪へと夢は膨らむ

迎えた9月の同カップは、昨年コロナ禍で中止となったため待ちに待った初出場。全国1位となる予選タイムを引っ提げて臨んだ。「スタートラインに立つと、余計なことは考えずゴールしか見えなくなる」という抜群の集中力で決勝のスタートを切ると、中盤以降に持ち前のしなやかな加速を発揮。小学生女子の日本記録( 12秒56)をマークして優勝した高知代表選手には差を空けられたものの、2位にわずか0秒01差の13秒01でゴールした。

「日本新を出した選手の走りがとにかく力強かった。もちろん1位を取りたかったけど、それより陸上を通じて他の県に友達ができて、一緒に走れたのがうれしかったんです。中学生になったら、全中で再び顔を合わせたい。そのときにいいレースができるように、スタートの前傾姿勢など課題を改善していきたいです」。

実はぐんぐん身長が伸びる成長期に入り、体の成長に感覚が追い付いていない影響もあったと言うが、ともあれ過去大半のレースをぶっちぎりで勝ってきた薬師寺にとって、これからの目標が見つかる貴重な経験となった。

「地道にやってきた反復練習を土台に、中学でどれだけ成長を遂げてくれるか期待したい」と北村代表。

ウサイン・ボルトがあこがれの選手で「走りはもちろん、周囲に感謝の気持ちを忘れないところもカッコいい。ボルトのようにオリンピックで活躍できる選手になるのが目標です」と話す12歳の今後がますます楽しみだ。

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