2021.11.08

B1リーグの主役を狙う フィリピン代表キャプテン キーファー・ ラベナ

スペイン代表ACのルイス・ギルHCを迎え、新時代へと大きく舵を切った滋賀レイクスターズ。今シーズンは選手(ロスター)も大幅に入れ替わり、“フルモデルチェンジ”の様相を呈している。
未知数ゆえの不安はあるが、それを軽々と払拭するだけのポテンシャルも秘めている。期待充分の新生レイクスを解剖する。

開幕節でいきなり兄弟対決

Bリーグは昨シーズンからアジア5カ国(中国、チャイニーズ・タイペイ、インドネシア、フィリピン、韓国)の選手を受け入れる制度として「アジア特別枠」を新設した。目的は競技力向上と海外のビジネスチャンス拡大。この制度を利用し、今シーズンから滋賀レイクスターズでプレーするのが、キーファー・ラベナである。

フィリピン代表キャプテンの彼が、Bリーグにやってきたというだけで日本での注目度は充分にある。それ以上に、バスケットが国技である母国のファンは彼の活躍に熱視線を向けているようだ。しかも、三遠ネオフェニックス所属の弟サーディ・ラベナと開幕シリーズでいきなり対戦するとなれば、もうお祭り騒ぎか。

「(弟との対戦を)個人としてもすごく楽しみだね。でも、僕らの家族にとってはもっと大きな一戦になると思うんだ。さらに大きく言えば、フィリピン国民も楽しみにしている試合だと思う。もう、ワクワクが止まらないよ」

日本での経験を母国代表へ

以前から海外リーグへの挑戦を夢見ていたキーファーは、今回のオファーに歓喜したという。

「代表の試合を観ても、日本のバスケットは急成長していると感じていたし、Bリーグはアジアでベストなリーグだとも見ていたからね。レイクスから話をいただいた時はすごく興奮したんだ」

もちろん、レイクス以外からもオファーはあったという。その中でレイクスに決めたのは、今シーズンから指揮を執るルイス・ギルHCの存在が大きかった。

「レイクスがスペイン代表ACのルイスさんをコーチに迎え入れると聞いてね。自分の成長できる場所はここだと強く感じたんだ。だって、僕が出場した2019年のワールドカップで優勝した国はスペインだったからね。ルイスコーチのバスケット哲学を学べるだけ学んで、もう一度フィリピン代表としてワールドカップの舞台に立てるなら、レイクスで得た経験を全てフィードバックしたいとも思っているんだ」

2023年には、フィリピンをメイン会場として、日本、インドネシアの共催でワールドカップが開かれる。レイクスを選んだ背景には、母国を想う気持ちもあった。

強みは周りを活かすプレー

個人の成長と母国代表への貢献を掲げるキーファーだが、もちろん、レイクスを強くしたい気持ちもある。すでにフィリピンリーグ(PBA)でスター選手だった彼は、プロ選手に求められることを充分に理解している。自分の全てをレイクスに捧げるつもりだ。

選手としての個性は何でもできるユーティリティータイプ。ドライブで仕掛けて得点し、アウトサイドシュートもうまく、アシストもお手の物。ギルHCも「ポイントガードとしてのポテンシャルが非常に高い」と評す。その上で、強いてストロングポイントを挙げるなら「チームメートを活かせること」だとキーファーは話す。

「レイクスには、いい外国籍選手も揃っているし、日本人選手の能力も高い。自分にとっては全員が外国籍選手(海外選手)になるけど、そこはフィリピン代表として戦ってきた国際経験を活かせられるかなと思っている。理想はチームメートを活かし、自分も活躍すること。僕の経験値をチームで共有しながら、みんなで成長し、チャンピオンシップ進出やリーグ制覇をめざしていきたいね」

甘いルックスのナイスガイは、今シーズンのレイクスを、そしてBリーグを熱くさせるつもりだ。

キーファー・ラベナ

滋賀レイクスターズ

1993年10月27日生まれ、フィリピン出身。Bリーグが昨シーズンに新設した「アジア特別枠」で今シーズンから滋賀レイクスターズに加入。2019年FIBAワールドカップ中国大会ではフィリピン代表キャプテンとして全5試合に出場。三遠ネオフェニックス所属のサーディ・ラベナは3歳下の実弟。183㎝82㎏。

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