2021.09.16

創設2年で全国大会に6人が出場  うち2人が全国Vの快挙を果たす  田中大結・田中瑞季

1クラブ最多6人が全国へ

アシストアーチェリークラブは、2019年7月の甲西アーチェリー場開設から活動がはじまった。それからたった2年で、「全日本小学生中学生アーチェリー選手権大会」(7月3日・4日/静岡)に6名を送り込んだ。オリンピック種目であるリカーブ部門で、1クラブから小学生6名(全28名が参加)の参加は全国最多。それだけでも快挙だが、さらに2人の全国チャンピオンも輩出している。奇跡と言ってもいいほどの大躍進となった。

指導者は、NPO法人アシストアーチェリー理事長でクラブの監督でもある神省吾コーチ。大津商業高校から名門・近畿大学へ進学し、2つの全日本タイトルを持つ現役選手だ。躍進の理由を聞くとこんな答えが返ってきた。

「1人1人、1射1射をしっかりと見て、改善すべき点があればその場で伝えます。そして、そのアドバイスを子どもたちが自分で考えられる時間を設けています。自分と向き合うことが成長につながっているのだと思います」

アドバイスを聞いて単に直すのではなく、聞いて、考えて、試行錯誤して自分のものにする。この行程が急成長の秘密のようだ。

2人の全国チャンピオン

甲西アーチェリー場は、神コーチが付きっきりで教えるエリアと、自分でフォームを見つめ直す自主練エリアに大きく分かれている。約1時間のコーチレッスンの後、子どもたちはコーチの言葉を思い出しながら自主練エリアで復習する。そして、クラブ主催の「アシストカップ」で仲間同士が競い合って切磋琢磨する。昨年はコロナ禍で大会中止が相次いだが、このサイクルを続けたことで成長の歩みが止まらず。2年ぶりに開催された全国大会で優勝者を2人も出せたのは、このサイクルのおかげだ。

リカーブ小学生の部男子で優勝した田中大結(野洲小学校6年)は「全国大会でも、練習と同じように1本1本集中して、同じフォームで打つことを意識しました」と話す。決勝では3セット全てで相手を上回り、完勝で頂点へ。「努力した成果が出せてうれしかったですし、これからの自信にもなりました」と言う。

リカーブ小学生30mの部女子を制した田中瑞季(菩提寺小学校5年)も、同クラブの方針によって勝利をつかんだ一人だ。

「(雨で地面がぬかるんでおり)決勝で転びました。でも、あせらず、攻められても自分のアーチェリーを続けようと思った」。その結果、彼女も3セット全てで相手を上回って優勝を成し遂げる。「土日に多い時は1日600本を打ったこともあります。平日でも100本は打ちます。それを繰り返してきたことでメンタルが強くなりましたし、決勝でもいい面が出たと思います」。

わずか2年で全国出場6人、うち2人が日本一。この快挙は単なる偶然ではなく、クラブの育成サイクルが作り出した〝必然〞だったと言えそうだ。

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