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2021.02.09

【はばたく】全日本のエースが心機一転でめざす場所 黒後愛

【はばたく】2021滋賀アスリートたちの〝現在地〟

約1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピック大会をはじめ、再びスポーツの機運が高まりそうな2021年。
滋賀アスリートたちはどんな想いでこのメモリアルイヤーを迎えるのだろうか。失望、挫折、再起、希望…。さまざまな感情と向き合ってきたアスリートたちの〝現在地〞、そして展望を追う。

1週間悩んで新キャプテンに

【Q】東レアローズで4季目を迎えますが、その期間で成長した部分を教えていただけますか。
 1年目からスタート(レギュラー)で使ってもらいましたが、最初は長いシーズンを戦うことや毎週試合があることに慣れるのが大変でした。長い期間を見据えたコンディション作りやモチベーションを維持すること、気持ちのコントロールなど難しい面がたくさんありました。成長できているかと言われたら…ん〜。でも、毎年毎年、よくなっているなとは思います(笑)。特に難しかったのは、コンディション面です。

高校とは全く違いましたから。高校の頃は短期集中で大会に向けて調整すればよかったのですが、Vリーグは2〜3ヵ月も続くので、大きな波を作らず、いいプレーをどうやって常に出し続けるかが大切になります。もちろん、シーズンを通したピークは決勝に持っていくのですが、その中で勝っていくためには試合毎の調整も大切になってきます。

移動の疲れや試合場所の気候などいろんな変化によって、私たちの調整や動きもその日その日で変わってきます。その中で、いかに自分たちのプレーを崩さずに出せるか。そのために休むとか自主的にボールを触るとか、そのあたりは感覚ですが、時間の使い方を意識するようになりました。

【Q】そういう〝感覚〞は、東レアローズ入団から何季目くらいにつかめたのでしょうか?
 もがいてもがいて、やっと今シーズンですね。2季目はVリーグ準優勝という中で少しはチームに貢献できたと思います。でも、3季目はケガで前半は試合に出られませんでした。

それでも復帰後は、シーズン後半の大事な時期にも関わらず試合に使ってもらいました。あのうれしさは忘れられません。今季は開幕からスタメンで使ってもらっていますし、東レアローズのスタメンという責任感を感じながら戦っています。

【Q】今季は新キャプテンに就任されました。監督から告げられたと思いますが、その時はどんな気持ちでしたか?
 真っ白です(笑)。電話で言われたのですが、その時は「・・・」って感じでした。監督から「おーい、電話つながっているかぁ」と問われるくらいの沈黙。まさか自分がやるとは思っていなかったので、ほんと頭が真っ白でした(笑)

【Q】その電話で、すぐにキャプテンは引き受けられたのですか?
 「やってほしいと思っている」って言われてから1週間くらい考えました。あれ?「やってもらおうと思っている」だったかな。「もらおう」なら、すでに決定事項ってことですよね、今思えば…(笑)。それはいいとして、監督に言われてから1週間の間、自分がキャプテンになったらどうなるんだろうかと考えました。そして、ある時、自分がキャプテンになった後のことを考えている自分に気づき、もうキャプテンになる気なのかなぁと思い、「やります」と伝えました。

私たちのバレーを届けたい

【Q】キャプテン就任後、気持ちの変化はありましたか?
 ん〜、変化というよりは、キャプテンとして私は何ができるのかを考えました。そして、そんなに多くのことはできないので、自分にできることをしようと思うようになりましたね。東レアローズはコートの中でも外でも声をかけてくれる人が多く本当に温かいチームなので、キャプテンになってから、このチームに入ってよかったと思う瞬間がいっぱいあります。

【Q】キャプテン就任した今季、東レアローズはリーグ戦全勝で2020年を終えました。昨季とは何が変わったのでしょうか?
 そうですね〜、昨季と比べると選手一人一人が自分自身と向き合えていると思います。バレーボールとも向き合って、それをコートで表現できているとも思います。

【Q】コロナ禍でチーム練習ができなかった時期があったことも影響していますか?
 それもきっとあるんだと思います。チーム練習ができなかったことで、個々で考える時間もあったと思いますし、今までより頭を使ってイメージしてバレーボールをすることができている気がします。

【Q】チーム練習ができない期間が1ヵ月以上あったと思いますが、どう過ごされていましたか?
 緊急事態宣言が出た時、私は代表合宿にいました。一度、チームは解散することになり、私は(栃木県の)実家で待機することになりました。あんなに長い期間、実家にいたのは中学生ぶりだったと思います。

最後の方は、なんとなく実家にいるのが落ち着かなくなってソワソワしていました(笑)。早く(東レアローズの本拠地がある)滋賀に帰りたい〜って。結局、代表の再合流は難しいとなって、実家暮らし1ヵ月後に滋賀に帰ってきました。でも、帰ってきたタイミングが東レアローズのオフシーズン。うわ、誰もいない〜ってなりました(笑)

【Q】東京2020オリンピック1年延期は実家で聞かれたのですか?
 そうですね。

【Q】どう思われましたか?
 オリンピックを経験したこともないですし、イメージするしかない大会ですが、(1年延期に対して)ショックな気持ちと、受け止められていない自分がいました。最初はあぁ延期になったんだってくらいの、他人事のような感じだったと思います。今思えばですが、そこから受け止めたくないっていう現実逃避が生まれたと思います。

【Q】気持ちの切り替えは、すぐにできたのでしょうか?
 ん〜、切り替えかぁ。そこは自分ではわかりません。ただ、1年延期とかは関係なく、純粋にボールに触りたい気持ちが日に日に強くなって、東レアローズのメンバーと早く一緒に練習したいと思っていました。だから、みんなで顔を合わせてチーム練習をした時はうれしかったですね。うぁ、みんなとやっと会えた、やっとみんなでバレーボールができるって…。あの日はすごく楽しかったです。

【Q】これほど長くバレーボールをしなかった経験は人生初ですか?
 初めてかもしれません。だから、ウズウズして、実家では家族で〝青空バレー〞していました(笑)

【Q】この経験で、なんとなく初心に戻れた感覚はありますか?
 そうですね。改めて自分はバレーボールが好きなんだって感じました。また、バレーボールができるのは当たり前ではないこともわかり、今はこういう環境でバレーボールを続けられていることにすごく感謝しています。

【Q】それは東レアローズの選手全員が感じていることだと思いますが、好調の理由にもなりますか?
 それだけではないと思いますが、本当に一つ一つの試合、1回1回の練習、一瞬一瞬にみんなが真摯に向き合って、全員でそこを乗り越えてきたから今の連勝につながっていると思います。

【Q】最後に、今年開催予定の東京2020オリンピックへの思いを聞かせていただけますか?
 正直、今はオリンピック自体がどうなるかわからない状況だと思います。その中で、自分たちにできることはまずリーグ戦を戦い抜くこと。目の前のリーグ戦をいい内容でいい結果を残すことが、きっとその先の東京2020オリンピックもそうですし、これからの自分のバレーボール人生に必ず響いてくると思っています。

だから、リーグ優勝を目指して頑張るだけです。東京2020オリンピックが開催されるかどうかを考えるのは私たち選手ではないです。今は、東レアローズを応援したいと思ってくださる方々に私たちのバレーボールを届けたいですし、私自身を見てほしいとも思います。目の前のこの1試合をみんなで、全力でやるだけだと思います。

 東レアローズは、1月30日(土)・31日(日)にウカルちゃんアリーナで試合を行う。ファイナル進出への大事な2試合、黒後キャプテンの活躍に注目したい。

黒後愛

東レアローズ

くろご・あい。1998年6月14日生まれ、栃木県出身。小学3年生からバレーボールをはじめ、宇都宮市立若松原中学3年の全国中学生大会で優秀選手賞を受賞。名門・下北沢成徳高校(東京)に進学し、春高バレー2連覇と2年連続MVP獲得の偉業を果たす。高校卒業後の2017年に東レアローズへ入団。V・プレミアリーグ2017/18シーズン最優秀新人賞を受賞。全日本でもエースとして活躍し、今シーズンからは東レアローズのキャプテンを務めている。

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