2021.01.09
[激動の2020] コロナ禍の中で見えた希望
激動の2020
コロナ禍の1年を振り返る
東京オリンピックイヤーとして幕を開けた2020年。例年以上にスポーツへの注目が集まるはずだったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会の延期や中止が相次ぐ異様事態に。
日常生活すら困難な中、スポーツの真価が問われた激動の1年を振り返る。
コロナ禍の中で見えた希望
近江サッカー部が初優勝
夏のインターハイ中止という事件は全ての競技に暗い影を落とした。ボートやテニスなど夏で高校3年生が引退する競技はもちろん、冬の全国大会を控えるサッカーやバレーなどでも夏で引退する3年生にとっては集大成の場を失われた格好となった。
県内外を含め、ほぼ全ての大会が中止になった中学に比べれば、代替大会などが開かれた高校はまだましという見方もできる。確かに、それは一理あるが、多くの高校生が卒業後に競技を辞めることを考えると、インターハイ中止はより大きな事件と言えた。
ただ、その非常事態を乗り越えた先に、希望をつかんだ高校生たちもいる。全国高校サッカー選手権大会(12月31日開幕)への初切符をつかんだ近江サッカー部などはいい例と言えるだろう。
11月14日に綾羽との決勝戦に挑んだ近江は、相手の堅い守備に前半は苦しんだものの、後半に2得点を挙げて初優勝。65分に値千金の先制点を挙げたのは、キャプテン森雄大(3年)だった。
「休校やインハイ中止でチーム作りが難しい部分はあったけれど、今大会を通して成長できたと思う。優勝できてうれしい。でも、今はほっとした気持ちの方が強い」
近江の全国大会初戦は12月31日。5年ぶり14度目の出場となる日大山形(山形)と対戦する。
代替大会で起きた奇跡
インターハイ予選の中止を受け、競技によっては代替大会が開かれた。7月19日に琵琶湖漕艇場で行われた滋賀県高等学校夏季大会ボート競技もその一つだ。
すでに高校3年生が引退した学校も多く、大会レベルは決して高くはなかった。全国大会につながらない大会とあって、参加選手のモチベーションも例年よりは低め。その中で、全ての力をこのレースに注ぎ込んだクルーがあった。男子舵手付きクォドルプルに出場した瀬田工業Aである。
2位の膳所Aに約14秒の差をつける圧勝のレース(3分03秒78)。優勝の瞬間、クルー5人は喜びを爆発させた。理由はこの5人でクルーを組むのは今回が最初で最後だったからである。
U-19日本代表の宮口大誠(3年)は「3人は大学でも競技を続けるけれど、残り2人は高校で競技をやめる。インターハイと国体が中止になった今年、2人にとってはこのレースが競技人生のラストでした。みんなで最高のレースをしようと挑みました。展開といい、スピードといい、ベストレースでした」と笑顔を見せた。
実力者が揃う瀬田工業には有力な後輩たちも多い。インターハイや国体があれば、おそらくこの5人が組むことはなかった。コロナ禍での、一つの奇跡だった。
コロナ禍を超え、全国大会へ
10月には陸上の全国大会が開かれ、滋賀からは彦根翔西館や比叡山( 11ページ参照)らの選手たちが出場を果たした。インターハイの意義を継承する大会という位置付け。そういう意味で陸上は、他競技とはインターハイ中止の捉え方が少し異なるかもしれない。
また11月には先述したサッカーをはじめ、ラグビー(光泉カトリックが優勝)、駅伝(男子は滋賀学園、女子は比叡山が優勝)、バレーボール(男女とも近江が優勝)、バスケット(男子は光泉カトリック、女子は草津東が優勝(関連記事https://lakesmagazine.jp/2021/01/22/2020-12-10/)の全国予選大会が行われた。
優勝した高校はそれぞれ冬の全国大会に挑む。新型コロナウイルスの第3波の動向が心配されるが、無事に開催されることを祈りたい。