2020.12.04
コロナ禍を力に変えた〝我練〟 彦根翔西館高校 陸上競技部[2020の推し]
大会中止や部活自粛などコロナ禍に悩まされた今年。
それでも前進し続けてきた湖国の高校生たちを紹介する。題して「2020の推し」「推し部」。彼ら彼女らの行動が新しい世の中を生きる勇気をくれる。
彦根翔西館[陸上競技部]
北尾 響・須戸 遼・安井聖真・琴寄晴仁・島田歩果・奥野由萌・西村晟太郎・福田海斗
コロナ自粛を力に変えた〝我練〟
県最多8種目で全国出場
10月の全国高等学校陸上競技大会2020(兼U20全国陸上競技大会)に県最多8種目(リレー含む)で選手を送り込んだ彦根翔西館高校陸上競技部は、湖国の高校陸上をリードする存在。部員は約100名で、ほぼ全種目に選手を抱える。
中でも三段跳の島田歩果、400mハードルの西村晟太郎、八種競技の福田海斗(全3年)は、全国ランキング上位で全国大会を迎えた。
全国ランキング6位だった三段跳の島田は、7月に肉離れを起こすアクシデントもあったが、それを乗り越えての全国出場だった。
「昨年はU18日本陸上に出て準優勝。今年はインターハイも中止になったので、今大会では絶対に優勝したいと思って挑みました」
全国大会の結果は11位だったものの、苦難を乗り越えた経験は今後の人生にプラスになるはずだ。
400mハードルの西村は全国ランキング8位で全国大会へ。結果は予選敗退だったが、高校3年間で大幅に記録を更新。自信を得た。「高校で自己ベストを3秒ほど縮めることができた。コロナ自粛期間も全国大会があると信じてトレーニングを続けてきてよかった。(目標の日本一にはなれなかったが)いい集大成になったと思う」
八種競技で全国6位
全国大会に出場した8人の中で、八種競技の福田が6位入賞を果たした。コロナ自粛明けの滋賀県選手権(8月)に自己ベストを更新し全国ランキング2位で今回の全国大会を迎えていた。
「コロナで部活ができない期間に、動画などを見て自分の体がどう動いているのかを見直した。西村(晟太郎)くんと一緒に走ってアドバイスをもらったりして、100mは昨年の11秒34から今年は11秒02に縮めることができた。彦根翔西館は競う合うだけではなく、みんなで助言し合える。ここで陸上が出来て良かったと思います」
彦根翔西館にはメインの練習のほかに自己課題を解決するための練習がある。〝我練〟と呼ばれ、週2回1時間~1時間半ほど行う。
村上拓顧問は「日頃から自分で課題を見つけ、解決策を考えて実行します。その成果をノートに記録しながら、次の課題、また次の課題へとステップアップさせていきます。自分で練習するから〝我練〟と呼んでいます」と説明する。
大会中止や部活自粛が続いた中で、8人が全国大会に出場できた理由は選手たちが自己と向き合い続けたからだろう。自分を見失わず、常に前へ。彦根翔西館の選手たちにはそんな強さがある。